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04/03|対米関税1年・USTR報告書と国内新車市場への波及|たかまさの車×交通デイリー

たかまさニュース(車・道路交通など)

今日4月3日で、米国が輸入自動車に課す25%追加関税が発動されてからちょうど1年になります。あのとき「自動車産業への打撃は計り知れない」と報じられた関税措置は、その後どうなったのか。

そして、日本国内でクルマを買う私たちには何が変わり、何がまだ変わっていないのか。

ちょうど2日前の3月31日には、米国通商代表部(USTR)が2026年版の貿易障壁報告書を公表し、日本の自動車市場への批判を改めて強調しました。「1年」という節目をFP記者として整理します。

📌 関税25%から15%へ、それでも続く対日圧力の構造

2025年4月3日の衝撃、その後の交渉経緯

2025年3月26日、トランプ大統領は通商拡大法232条(安全保障条項)に基づき、すべての輸入自動車に25%の追加関税を課す大統領布告を発表しました。そして1年前の今日、2025年4月3日(木)の日本時間13時01分から、その徴収が始まりました。

それまで日本からの乗用車には2.5%の関税しかかかっていなかったところへ、一気に25%が上乗せされた形です。日本の対米自動車輸出額は年間約6兆円(138万台)と、輸出全体の約3割を占める基幹産業です。試算では、日本のGDPを最大0.52%押し下げる可能性があるとされました。

その後、日米交渉が本格化し、2025年7月22日に両国間で合意が成立。米国政府は同年9月4日付で日本産自動車への追加関税率を引き下げる大統領令を発出しました。経産省の発表によれば、既存関税率が15%未満の製品については追加関税を合わせた関税率が15%になるよう調整されています。25%という数字は一定の圧縮を見たわけですが、引き下げ前と比べれば依然として大幅な上昇幅であり、日本の自動車業界は国内向けの対応を迫られ続けました。

最高裁が「相互関税」を違憲と判断、ただし自動車は別扱い

状況はさらに動きます。2026年2月20日、米国連邦最高裁判所が、トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動した「相互関税」は違憲・無効であるとの判決を下しました。これを受けて米国政府は相互関税を終了しましたが、自動車・自動車部品に対する25%関税は通商拡大法232条に基づく別の措置として維持されていたため、この違憲判決の対象外です。

代わって2026年2月24日からは、1974年通商法第122条に基づく全世界一律10%の追加関税が開始されました。この措置は150日間の期限付きで、計算上は2026年7月下旬までの措置となります。つまり現時点では、自動車向け15%(232条)と一般品向け10%(第122条)という二重構造の関税環境が続いていることになります。

USTR2026年版報告書(3月31日発表)で日本批判が再浮上

そして今週起きた新たな動きが、3月31日にUSTRが公表した2026年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」です。この報告書は毎年3月末に公表される年次資料で、米国企業の輸出・投資を阻む各国の障壁を列挙するものです。日経新聞によれば、今回の報告書では「米国製自動車や同部品の販売は依然、低迷している」と明記。昨年の日米交渉で合意した「米国で安全認証された米国車を日本が追加試験なしで受け入れる」という約束について、「日本は完全な市場参入を提供していない」と批判しています。さらに「日本市場への相互参入を提供するとの約束について、日本の取り組みを注視する」と強調しました。

関税は15%に下がったものの、USTRが対日圧力を緩める気配はない。発動から1年目の今日という節目に、その構図がはっきりと見えます。

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📌 FP記者が読む「関税1年」の国内自動車市場への波及

2025年度国内新車販売が4年ぶり前年割れとなった背景

関税発動と並走した2025年度(2025年4月〜2026年3月)の国内新車販売は、前年度比0.9%減の453万3,782台でした。4年ぶりの前年割れで、6年連続で500万台を下回っています。

📊 2025年度国内新車販売(自販連・全軽自協発表)
・総合:453万3,782台(前年度比 0.9%減・4年ぶり前年割れ
・日産:39万8,813台(13.5%減・1993年度以降最低
・ホンダ:60万9,246台(8.9%減)
・トヨタ:138万9,787台(2.2%減)
・スズキ:年度ベース比較可能な1993年以降で初の総合2位に浮上

日産の落ち込みには経営再建問題やモデルサイクルの長期化という固有の事情があります。ただ、トヨタ・ホンダという2大メーカーも揃って前年割れとなった点は、単一メーカーの問題では説明しにくい。環境性能割の廃止に向けた3月駆け込み需要が一部あったにもかかわらず、通年では前年を下回りました。

背景には複数の要因が重なっています。物価高による消費者心理の悪化、新車価格の上昇、そして各メーカーが米国生産シフトに向けた投資を優先したことによる国内モデルへの開発・投資余力の縮小。関税問題は単に輸出が減るだけでなく、メーカーの資金配分を歪め、国内消費者が手に取れるクルマの選択肢にも影響しています。

メーカー体力の低下が新車価格と選択肢を絞り込む構造

FP記者として注目するのは、関税コストがどこへ転嫁されているかという点です。ホンダは2025年度通年の関税コストとして最大4,500億円を見込んでいました。日産も同水準の影響を試算していました。これほどの規模のコスト増は、いずれ何らかの形で吸収されなければなりません。

実際に関税発動後、日本の主要メーカーは米国での車両販売価格を順次引き上げました。と同時に、国内向けの新車価格も上昇基調が続いています。さらに深刻なのは、メーカー各社が生産拠点を米国にシフトすることで、日本国内向けのラインナップ維持に割ける経営資源が相対的に減少していることです。廃止・統合されるモデルは今後も増えていく可能性があります。

消費者が今できる具体的な行動判断

国内でクルマを買う、あるいは売る立場から考えると、現状をどう読むべきでしょうか。私が20年以上の取材経験と11回の自動車売買を通じて感じるのは、「今は価格的な上限が見えにくいフェーズにある」という点です。

新車を検討中の方は、欲しいモデルが「廃止・モデル統合リスクを抱えていないか」を確認することが大切です。メーカーが米国向け生産を優先するほど、日本国内の低利益モデルは整理の対象になりやすくなります。すでに2025年度の国内新車販売が4年ぶり前年割れとなったなかで、モデルラインナップの縮小は現実の問題として始まっています。欲しいモデルがあるなら、「来年まで様子を見る」という判断が裏目に出るケースも出てくる可能性があります。

一方で中古車を検討中の方には、現在の中古相場は高止まり傾向にある点を念頭に置いてください。新車が値上がりし、かつ新モデルの供給が絞られると、中古の既存車両への需要が高まります。このロジックは今後もしばらく続くと私は見ています。特に、輸出向け需要も重なる人気車種(ハイブリッド・SUV系)は、中古でも強含みが続く傾向があります。

現有車を売る側の方へも一言。関税問題が長引くほど、整備が行き届いて走行距離の少ない国産車の中古は、相対的に希少価値を保ちやすくなります。急いで手放す理由がないなら、関税交渉の行方をもう少し見極めてから判断しても遅くはないと思います。FPとして言えば、「必要に迫られていないなら、情報が揃うまで待つ」のは合理的な選択です。

たかまさはこう見ている

1年前の今日、経産省はすぐに「米国関税対策本部」を設置し、特別相談窓口と資金繰り支援に動きました。あのスピード感は評価できます。日米交渉も7月には合意にこぎつけ、25%から15%への引き下げを実現した。政府として最善は尽くしていると思います。

ただ、FP記者として冷静に数字を見ると、15%になっても以前の2.5%からは大幅な上昇です。さらに今は10%の追加関税(第122条、150日間)も重なっています。「交渉に成功した」という印象は半分正しく、半分は楽観に過ぎると感じています。

私が今回のUSTR報告書で特に気になったのは、「日本は完全な市場参入を提供していない」という表現です。昨年の合意で米国車の受け入れを約束したにもかかわらず、その履行を問われている。これは、対米交渉がまだ終わっていないことを意味します。3月31日に公表された報告書の内容が今後の交渉カードに転用されれば、再び自動車関税の引き上げを交渉材料にされるリスクが残ります。

読者の皆さんが直接感じる影響を、FPとして整理するとこうなります。まず新車価格は、国内外ともに上昇圧力が続きます。メーカーが抱えたコストは、ある部分は企業努力で吸収されますが、長期的には価格に反映されます。次にモデルラインナップは、収益性の低い車種から徐々に整理される可能性がある。私が「今すぐ欲しいモデルがある人は、早めの判断を」と言いたいのはこの理由からです。

逆に「しばらく今の車に乗り続ける」という選択も合理的です。関税問題が長引くほど、既存車両のリセールバリューは下がりにくくなります。走行距離が少なく、整備が行き届いた現有車は、今後さらに希少性が高まるかもしれない。私自身が11回の買い替えで学んだことのひとつは、「メーカーの都合ではなく、自分の生活に照らして乗り替えタイミングを決める」ということです。今がその判断を冷静に考えるのに適した時期だと思います。MOTA車買取

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