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03/09|ホルムズ封鎖・中古車UAE輸出停止と国内相場への波及|たかまさの車×交通デイリー

たかまさニュース(車・道路交通など)

「中古車の相場が下がるかもしれない」というニュースを耳にして、不安になっている方はいないでしょうか。

今、日本の中古車市場に影響を与えかねない事態が進行しています。ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、日本の中古車輸出ルートの最大拠点であるUAE(アラブ首長国連邦)への出荷が停止状態に入りました。

今日はこの問題の構造を丁寧に整理します。「なぜ中東の海峡が自分の車の査定額と関係するのか」、数字と現場の声をもとに掘り下げていきます。車の売却・買い替えを検討している方にとって、今週最も注目すべき情報です。

📌 ホルムズ海峡封鎖が直撃する「中古車輸出170万台時代」の構造と国内相場への波及

そもそも日本の中古車輸出はどれほどの規模か

まず前提となる数字を押さえてください。2025年の日本の中古車輸出台数は、日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の発表によると、前年比9.1%増の170万8,604台でした。3年連続での過去最多更新です。

金額ベースでも、2025年の中東向け自動車輸出額は前年比15.3%増の2兆4,483億円(ジェトロ調べ)と過去最高を更新しました。この背景には、円安基調の持続と、アフリカ・中東・東南アジアなど新興国市場での日本車需要の高まりがあります。

この輸出フローを支えてきた最大の「中継点」が、UAEのドバイです。UAEへの中古車輸出は年間22万台と国別1位で、日本から送り出された中古車のかなりの部分がドバイを経由して、アフリカや中東各国へ再輸出されています。ドバイには約400社の中古車ディーラーが集積し、再輸出エコシステムの核として機能してきました。

3月1日、ホルムズ海峡の通航隻数が平均比72%減に急落

2026年2月28日、米国・イスラエルがイランに対する大規模な軍事作戦を実施しました。翌3月1日以降、ペルシャ湾への入り口であるホルムズ海峡は「事実上の封鎖状態」に入り、多くの海運会社が通航を自粛・停止しました。

ジェトロが公表したIMFのPortWatchデータによると、3月1日のホルムズ海峡の通航隻数は26隻。2019年の統計公表以降で最低の水準です。通常の日量平均が92.6隻ですから、約72%の急減となりました。

📊 ホルムズ海峡 通航隻数の推移(ジェトロ調べ)
・2019年〜直近の1日当たり平均:92.6隻
・2025年の年間平均:95.7隻
・2026年3月1日(封鎖直後):26隻(統計公表以来の最低値)

商船三井・日本郵船・川崎汽船の海運大手3社も、1日までにホルムズ海峡の航行停止を相次いで決定しました。LNG船・原油タンカーだけでなく、自動車運搬船も対象となっています。UAEのドバイのある「ペルシャ湾」は、このホルムズ海峡を通らなければ到達できません。つまり、中古車のUAE向け輸出ルートは物理的に塞がれた状態です。

港で積み込みを待っていた車が「逆輸入」状態に

影響は即日、輸出業者の現場に出ました。テレビ朝日ANNの報道(3月4日)では、中古車輸出業者の証言が紹介されています。

「港で船に積み込んでいる途中だったが、けさ、船の出港を突然止めるということで、すでに輸出手続きが完了して外国の貨物扱いになっている車を、再度輸入手続きをしてヤードに運び直さなくてはならない」。

輸出手続きが済んだ段階で、車はすでに「外国の貨物」として扱われます。出港キャンセルになれば、再輸入の手続きを踏まなければ国内に戻せないという、現場にとって想定外の事態が発生しました。

中古車輸出大手「ビィ・フォアード」の丹龍太郎・社長室長は読売新聞の取材に対し、「ホルムズ海峡以外の迂回ルートを使えば遠回りになり、輸送費が高くなる。需要がある別の地域への切り替えなど臨機応変に対応したい」とコメントしています。迂回自体は物理的に不可能ではありませんが、コスト増は避けられません。アフリカの喜望峰を回る代替ルートは通常より20日以上余分にかかり、燃料費・船賃の上昇が見込まれます。

封鎖の長短で国内相場はどう動くか。2つのシナリオを整理する

ここが、中古車の売却・買い替えを考えている方にとって最も重要な部分です。封鎖の長期・短期で、国内相場への影響はまったく異なります。

【短期解消シナリオ】
外交的解決が数週間以内に実現し、海運各社が運航を再開できた場合、国内への影響は限定的に留まります。足止めされた在庫が再出荷に向かえば、国内オークション市場への流入は最小限です。相場の下落圧力は一時的なものに収まる可能性があります。

【長期化シナリオ】
ウクライナ情勢のような長期化が起きた場合、影響は段階的に拡大します。まず輸出向けに仕入れた在庫が国内に滞留し、オークション出品が増加します。輸出バイヤーが旺盛な「買い」を止めることで、成約単価が下がります。その結果が査定額の低下として、一般ユーザーに届きます。

三菱自動車の幹部は読売新聞の取材に「ウクライナ情勢のように長期化すれば、やっかいだ」と語っています。中東を「第二の柱」と位置づけ輸出を強化してきた同社にとっても、先行きは不透明です。

日本経済新聞も「封鎖が長期化すれば日本で在庫が増え、中古車価格が下がる可能性がある」と報じています。国内相場への下押し圧力は、封鎖が続くほど現実的になります。

たかまさはこう見ている

20年以上、自動車業界と金融市場を取材してきて実感することがあります。それは、「相場の変動には必ず構造的な理由がある」ということです。2022年から2025年にかけての中古車高騰も、半導体不足・コロナ禍・円安・輸出需要という複数の要因が積み重なった結果でした。今回の事態は、その「輸出需要」という柱の一本が大きく揺らいだ出来事です。

グーネット自動車流通のまとめによると、2025年の全国オートオークション(AA)の成約単価は平均89万1,000円で、前年からさらに5万2,000円上昇していました。出品台数が増える中でもこれだけ高値を維持できた背景の一つが、輸出バイヤーの強い買い意欲です。近畿地区の中古車販売店からは「中古車輸出バイヤーの強い応札についていけないため、AA仕入れが非常に困難になっている」という声が出るほど、輸出需要が国内相場を押し上げていました。

その構造が今、試されています。FPの視点から申し上げると、今まさに売却を検討している方は「急いで売る必要があるか」を冷静に問い直すことが重要です。封鎖の解消が近ければ、相場はすぐに戻ります。焦って動けば、その不安を査定業者に見透かされ、適正価格より低い査定を受け入れてしまうリスクがあります。

一方、売却を考えていなかった方は、この機会に「今の愛車の価値がいくらか」を把握しておくことを強くおすすめします。MOTA車買取やカーセンサーなど複数社の査定サービスを活用して、現在の相場感を持っておくと、今後の状況変化に対して判断が速くなります。「いくらで売れるか」を知らないまま「相場が下がるかもしれない」という情報だけを受け取っても、行動の基準が持てません。まず現状把握が先です。

今後しばらくは、ホルムズ海峡の状況を週単位で追うことをお勧めします。外交的な動きが見え始めた時点が、判断を下すタイミングになるでしょう。

📖 コペン記念イベント第一弾が富士スピードウェイで5月16日に決定。24年・11万台の集大成へ

本日3月9日、レスポンスが報じました。ダイハツ工業が、軽オープンスポーツカー「コペン(COPEN)」の現行モデル生産終了に向けた感謝イベントの第一弾として、2026年5月16日に富士スピードウェイでの開催を発表しました。

コペンの現行モデル(2代目)が生産終了を迎えることは2025年9月に発表済みでした。生産終了時期は2026年8月末、2002年の初代発売以来の累計生産台数は11万5,455台(2026年3月時点)。軽自動車初の電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」を採用し、「持つ悦び」と「操る楽しさ」を訴求してきた24年間の歴史に、一つの節目が来ます。

たかまさの補足

コペンの動向は、中古車相場という観点からも注目しておく価値があります。参考になるのが、ホンダ「S660」の事例です。S660は2022年3月に生産終了しましたが、終了発表後から中古車相場は継続的に上昇し、生産終了後も高値圏を維持しました。「もう新車では手に入らない」という希少性が、市場価値を押し上げるメカニズムです。

コペンも同様の動きが起きる可能性があります。現時点では8月末まで新車在庫があり、相場への影響は限定的ですが、在庫が尽きるにつれて中古車価格は上昇に転じることが予想されます。コペンオーナーの方は、売却のタイミングを「生産終了後の希少性プレミアムが乗ったタイミング」に設定するという選択肢も十分にあります。

なお、次期型コペンについては、ダイハツが2025年のジャパンモビリティショーで走行可能なプロトタイプ「K-OPEN ランニングプロト」を公開しており、軽自動車では珍しいFR(後輪駆動)レイアウトへの転換が有力視されています。現行のFF(前輪駆動)とは走りの性格がガラリと変わるモデルになりそうです。「FRが好きなら新型を待つ」「現行のFFらしい軽快さが好きなら今のうちに確保する」という判断の分かれ目になります。発売時期は2027年以降の見込みです。

🔗 参考リンク

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