
マセラティが10月20日、改良新型3車種の日本導入を発表しました。主役はグレカーレに新設された390PSのモデナV6です。V6エンジンを選べる最低価格が、1711万円から1460万円へ251万円下がりました。
マセラティ ジャパンが2026年10月20日の発表リリースで、3モデルの導入を告げる本文の直後に掲載した改良新型の公式画像です。グレカーレ、グラントゥーリズモ、グランカブリオはいずれも水平基調の新しいフロントデザインと新デザインのステアリングを採用し、日本での納車は2027年1月以降を予定しています。
出典:マセラティ ジャパン株式会社 プレスリリース『マセラティ、新型グレカーレ、新型グラントゥーリズモ、新型グランカブリオを発表』(2026年10月20日)
「マセラティのV6は1700万円を超える世界の話」。そう思い込んでいませんか。
マセラティ ジャパンは2026年10月20日、SUVのグレカーレ、4座クーペのグラントゥーリズモ、4座オープンのグランカブリオの改良新型を日本に導入すると発表しました。目玉はグレカーレに新設された「モデナV6」です。2,992ccのV6ネットゥーノを390PSで積み、価格は1460万円。改良前にV6を選ぶにはトロフェオ(1711万円)しかなかったため、V6の入口は一気に251万円下がりました。
一方で4気筒のモデナは1178万円から1201万円へ23万円上がりました。グラントゥーリズモとグランカブリオでは、標準車が上がってトロフェオが下がるという逆向きの改定です。トロフェオは最高出力を40PS引き上げながら、44万〜45万円安くなっています。
本記事では、全8仕様の新旧価格を並べて「1PSあたりの値段」で読み直し、V6化に払う259万円の中身と、排気量区分で変わる自動車税までを数字で検証します。

📌 新型グレカーレ4グレードの価格表を縦読み、モデナV6 1460万円で「V6の入口」が251万円下がった

4気筒のモデナは23万円上がり、トロフェオは1万円下がりました。真ん中に新設されたモデナV6を含めて4グレードを並べ直すと、マセラティがどこへ客を誘いたいのかが見えてきます。
発表リリースのグレカーレ紹介部に掲載された改良新型の公式画像です。フロントバンパーとグリルを刷新して水平基調の表情とし、サイドエアカーテンのスリット形状も変更しました。モデナV6とトロフェオV6のリアゲートには「V6」バッジが付きます。
出典:マセラティ ジャパン株式会社 プレスリリース『マセラティ、新型グレカーレ、新型グラントゥーリズモ、新型グランカブリオを発表』(2026年10月20日)
1065万〜1710万円の4グレード、改良前からの増減は「+23万円」と「−1万円」
マセラティ ジャパンの発表によれば、新型グレカーレの日本仕様は4グレードです。2.0L直4ターボ+マイルドハイブリッドの「グレカーレ」(300PS)と「グレカーレ モデナ」(330PS)、2,992ccのV6ネットゥーノを積む「グレカーレ モデナV6」(390PS)と「グレカーレ トロフェオV6」(530PS)。価格は順に1065万円・1201万円・1460万円・1710万円です。
これを2025年12月の改良時に掲載されたカタログ価格と並べると、改定の性格がはっきりします。標準グレードは1065万円で据え置き、モデナは1178万円から23万円の値上げ、トロフェオは1711万円から1万円の値下げです。4気筒の上位グレードだけが上がり、V6の最上級は実質据え置き。そして両者の間に、これまで存在しなかった1460万円のV6グレードが差し込まれました。
1PSあたりで並べ直すと、最上級トロフェオV6が3.23万円で最安
グレードの値付けを比べるとき、私は車ソムリエとして「価格÷最高出力」の1PS単価をまず計算します。装備差は残りますが、エンジンにいくら払っているかの目安になるからです。新型グレカーレで計算すると、グレカーレ3.55万円、モデナ3.64万円、モデナV6 3.74万円、トロフェオV6 3.23万円。最も高いのは新設のモデナV6で、最も安いのは最上級のトロフェオV6でした。
普通、上位グレードほど1PSあたりの値段は上がっていきます。装備が増え、生産台数が減るからです。ところが新型グレカーレは、4気筒の2グレードからモデナV6までは単価が素直に上がっていくのに、トロフェオV6で一気に3.23万円まで下がります。最上級だけが「出力あたりで最も割安」に見えるよう置かれているのが、この価格表の特徴です。
259万円で+60PS、250万円で+140PS、V6化の値札は2.4倍の非対称
グレードを1段上がるごとの「追加1PSの値段」を見ると、構図はさらに鮮明になります。4気筒のモデナ(1201万円・330PS)からモデナV6(1460万円・390PS)へは259万円で+60PS、1PSあたり4.32万円。モデナV6からトロフェオV6(1710万円・530PS)へは250万円で+140PS、1PSあたり1.79万円です。払う額はほぼ同じなのに、手に入る出力は2倍以上違います。同じ約250万円で、60PSしか増えない段と140PSも増える段がある。これが新型グレカーレの価格表に埋め込まれた非対称です。
ただし、モデナV6の259万円を「割高」とだけ読むのは早計です。グローバル発表によれば、グレカーレのV6は低回転域のトルクを重視した専用の制御を受け、2,000rpm時のトルクは2.0Lエンジンより32%大きいとされています。最大トルクも450Nmから500Nmへ増えます。日常域の余裕と6気筒の回り方そのものに払うお金であり、数字の最高出力だけでは測れない部分です。一方のトロフェオV6は、モデナV6でオプションのエアサスペンションを標準で備えます。250万円には装備差も含まれるため、1PS単価の安さはそのまま「お得」を意味しません。それでも、V6を選ぶと決めた人の視線が自然と上へ向く価格配置になっていることは確かです。

📌 グラントゥーリズモとグランカブリオは標準車を上げてトロフェオを下げた、40PS増しで44万円安の逆向き改定

グラントゥーリズモのトロフェオは40PS上がって44万円安くなり、標準車は44万円上がりました。上下を同じ額だけ逆に動かす改定は、価格差を縮めて上位へ誘う典型的な手法です。
発表リリースのグラントゥーリズモ紹介部に掲載された改良新型の公式画像です。新形状のフロントフェイスで空気の流れを改善し、トロフェオは従来比40PS増しの590PSに。リアライトはクリアレンズ化されました。
出典:マセラティ ジャパン株式会社 プレスリリース『マセラティ、新型グレカーレ、新型グラントゥーリズモ、新型グランカブリオを発表』(2026年10月20日)
4仕様の新旧価格、グラントゥーリズモは±44万円、グランカブリオは+37万円と−45万円
4座クーペのグラントゥーリズモは、490PSの標準車が2232万円、590PSのトロフェオが2702万円です。改良前の掲載価格は標準車2188万円、トロフェオ2746万円でしたから、標準車が44万円上がり、トロフェオがちょうど44万円下がりました。トロフェオは新形状のフロントによる空気の流れの改善などで、550PSから590PSへ40PS引き上げられています。出力を上げて値段を下げたことになります。
4座オープンのグランカブリオも同じ方向です。標準車は2363万円から2400万円へ37万円の値上げ、トロフェオは2915万円から2870万円へ45万円の値下げ。標準車とトロフェオの差は、グラントゥーリズモで558万円から470万円へ、グランカブリオで552万円から470万円へ縮まりました。クーペとオープンの差はどちらのグレードでも168万円にそろえられており、価格表全体が整理し直されたことがわかります。
4年で入口が203万円上昇、グレカーレの価格推移が示す「高くなった入口」
今回の改定を長い時間軸で見ると、別の事実も浮かびます。グレカーレが日本に導入された2022年5月時点の掲載価格は、300PSの「GT」が862万円、「モデナ」が1046万円、「トロフェオ」が1395万円でした。現在の標準グレードは同じ300PSの4気筒マイルドハイブリッドで1065万円ですから、同じ出力の入口グレードが約4年半で203万円、率にして23.5%上がったことになります。トロフェオも1395万円から1710万円へ315万円、22.6%の上昇です。
この間、掲載価格は2023年に3回、2024年にも3回と、段階的に引き上げられてきました。今回、標準グレードを据え置き、トロフェオをほぼ据え置いたうえでV6の中間グレードを新設したのは、上がり切った入口価格の代わりに「V6の入口」を下げて見せるという発想とも読めます。1000万円を超えた輸入SUVの購入層にとって、1460万円でV6が手に入る意味は小さくありません。
📌 たかまさはこう見ている

20年あまり新車の価格表を見てきましたが、最上級を1PSあたり最安に置く値付けは「上を選ばせる設計」の教科書です。ただ、1PS単価が安いことと、あなたにとって割安なことは別の話です。
今回の改定を貫いているのは、3車種すべてで「最上級への距離を縮める」という一つの方針です。グレカーレではV6の中間グレードを差し込み、グラントゥーリズモとグランカブリオでは標準車を上げてトロフェオを下げました。どちらもV6ネットゥーノを自社で持つマセラティだからこそ打てる手で、電動化一辺倒ではなく、エンジンの魅力で上位グレードを選ばせる方向へ価格表の重心を動かしたと私は見ています。グローバルでは2026年6月にすでに発表されていた改良内容が、日本では価格の組み替えとセットで届いたわけです。
ここからはFP視点で検証します。モデナ(1201万円)とモデナV6(1460万円)の車両価格差は259万円です。自動車税(種別割)は排気量で決まり、2019年10月以降に登録した乗用車なら1.5L超2.0L以下の4気筒は年3万6000円、2.5L超3.0L以下のV6は年5万円。差は年1万4000円、5年で7万円で、車両価格差と合わせた5年間の負担差は約266万円になります。2026年4月に環境性能割が廃止されたため、購入時の税で差が広がることはありません。燃料代はV6のほうが多くかかると考えるのが自然ですが、日本仕様の公式燃費が示されていないため、この試算には含めていません。つまり266万円は「最低限の差」です。11台を乗り継いできた私の経験では、買うときに払った差額が、手放すときにそのまま査定額の差として戻ってくることはまずありません。新設グレードのリセールはまだ実績がなく、ここは慎重に見るべきでしょう。
では、どう選ぶべきか。日常の足として上質なSUVがほしいなら、据え置きの1065万円の標準グレードか、モデナで十分です。6気筒の回り方そのものが目的なら、モデナV6はV6を選べる現実的な入口になりました。そして予算がもう250万円届くなら、1PS単価で最も安く、エアサスペンションも標準のトロフェオV6が合理的に見えます。ただし、その「合理的に見える」感覚自体が、価格表の設計の結果であることは覚えておいてください。価格表の「お得」は、売り手が選ばせたい場所に置かれています。
🔍 この記事のファクトチェックについて
本記事に掲載した車両画像は、すべてマセラティ ジャパン株式会社がPR TIMESで公開したプレスリリース『マセラティ、新型グレカーレ、新型グラントゥーリズモ、新型グランカブリオを発表』(2026年10月20日・https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000135.000049127.html)に掲載された報道用公式画像から引用しています。ヒーロー画像は同リリースで3モデルの導入を告げる本文直後の画像、サブ画像は同リリースのグレカーレ紹介部とグラントゥーリズモ紹介部に掲載された画像です。著作権はマセラティに帰属し、引用は著作権法第32条に基づき、報道目的での適正な範囲内で実施しています。

