
「GWの高速は渋滞するもの」で話が終わっていませんか。今年は渋滞が2割増え、ETC休日割引も3年連続でGW全期間が消えます。消えた1,920円は、知っている人だけが取り戻せる数字です。
「GWの高速道路は混むのが当たり前」。そう思い込んでいませんか。
2026年3月25日、NEXCO東日本・中日本・西日本・JB本四高速・日本道路交通情報センターは、4月25日(土)から5月6日(水)までの12日間における渋滞予測を発表しました。10km以上の渋滞は合計375回、昨年実績310回から65回増えて約21%増。最大は中央道・相模湖IC付近(下り)で45km、東北道・羽生PA付近(下り)と関越道・坂戸西SIC付近(上り)で40km、九州道・筑紫野IC付近(下り)と神戸淡路鳴門道・舞子トンネル付近(上り)で35kmの見込みです。
同時に、ETC休日割引はGW期間中の12日間すべてが適用除外。2024年度にGW・お盆・年末年始・シルバーウィークが除外され、2025年度からは3連休も追加。高速道路の割引体系は、ここ3年で大きく様変わりしました。
この記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点から、渋滞時間4倍問題の実態と、ETC休日割引消失による家計インパクトを具体数字で検証し、平日分散による回避策と周遊パス15%還元キャンペーンの使い方まで解説します。
📌 GW渋滞予測375回・前年比2割増の読み方。最大45km×時間4倍問題の現実

「渋滞2割増」のニュースは各社が伝えますが、内訳を見ると上り線だけで+37回と急増しています。Uターンラッシュの分散が進まなかったことが、数字に現れています。
375回の内訳。上り線の増加幅が目立つ理由
NEXCO発表の詳細を読むと、10km以上の渋滞予測は下り線152回(昨年実績124回・+28回)、上り線223回(昨年実績186回・+37回)。上り線の増加幅が下り線を上回っています。30km以上の特に長い渋滞は下り8回・上り7回の合計15回で、昨年よりは減少していますが、10km台の中規模渋滞が全体を押し上げている構造です。
背景にあるのは2026年GWの日並びです。前半は4月29日(水・昭和の日)が単独祝日の飛び石、後半は5月2日(土)から5月6日(水・振替休日)までの5連休。昨年のGWは後半4連休でしたが、今年は5連休となったことで、特にUターンラッシュが5月4日〜5日の2日間にまとまって集中するため、上り線の渋滞回数が急増する構造です。
最大45kmの中央道・相模湖IC。小仏トンネルがボトルネックの宿命
全国最大の45kmは中央道・相模湖IC付近(下り)、5月2日(土)の朝です。この区間はGW常連のワースト渋滞区間で、東京方面から富士五湖・八ヶ岳・諏訪方面へ向かう行楽客と、山梨・長野へ帰省する車が混じる交差点となります。ボトルネックは小仏トンネル。勾配とトンネル入口での速度低下が連鎖するサグ渋滞の典型例です。
下り線で特に注意すべきは、東北道・羽生PA先頭の40kmと関越道・坂戸西SIC先頭の40km(こちらは上り5月5日)です。いずれも渋滞長は同じ40kmですが、発生日時が異なります。東北道下りは5月2日午前、関越道上りは5月5日午後。帰省と行楽の両方で高速を使う方は、どの路線にいつ乗るかの組み合わせが実利に直結します。
「渋滞時間4倍問題」の具体区間。通常20分が1時間20分に膨らむ現実
NEXCO発表資料で特筆すべきは、時間換算のインパクトです。東北道・川口JCT〜館林IC間(下り)を渋滞ピークとなる5月2日(土)7時〜9時に走行した場合、所要時間は通常の約4倍、約1時間20分が見込まれています。通常なら20分で抜ける区間が1時間ぶん伸びる計算で、燃費の悪化分とガソリン代の追加負担を無視できないレベルです。
私は11回の車買い替えの合間に繰り返しGW移動を経験してきましたが、この区間で最悪だったのは2019年頃の朝8時台で、ラジオを聴き終えてもまだ館林に到達しない光景は今でも鮮明です。渋滞時の燃費は通常走行の半分程度まで落ちるケースもあり、ガソリン代の追加分だけでも1,000円前後の目に見えないコストが発生します。

📌 ETC休日割引・3年連続GW全期間ゼロの構造。東京〜名古屋で消える1,920円

ETC休日割引の3年連続GW適用外は、ガソリン値上げより静かに効く「気づかれにくい実質値上げ」です。家計管理の観点では「1回あたり数千円」の単発ロスを、行楽シーズンごとに繰り返し払っていることになります。
休日割引とは何か。本来は30%OFFの制度設計
ETC休日割引は、普通車と軽自動車(二輪車含む)を対象に、土日祝日の0時から24時に地方部の高速国道を走行すると料金が30%割引される制度です。大都市近郊区間は対象外ですが、旅行や帰省で長距離を走る場合に効果が大きく、ドライバーの定番メリットでした。
ところが2024年度からGW・お盆・年末年始・シルバーウィークが適用外となり、2025年度には3連休までが除外対象に加わりました。適用除外日の根拠は、2023年10月の観光立国推進閣僚会議が決定した「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」。観光需要を平準化し渋滞を緩和するという公的目的が明示されています。つまり「あえて割引をなくすことで混雑日を回避させる」設計思想です。
東京〜名古屋で1,920円・練馬〜渋川伊香保で560円の具体差額
JAF Mate Onlineに掲載された料金例によると、東京〜名古屋間は通常7,320円ですが休日割引適用時は5,400円、差額は1,920円。練馬〜渋川伊香保間は通常3,150円が2,590円になり、差額は560円。長距離ほど金額インパクトが大きくなる料率構造です。片道1,920円ということは、東京から名古屋へ家族旅行で往復した場合、単純計算で3,840円が通常より多く出ていく勘定になります。
さらに地味に効いてくるのが、2025年度から3連休も除外対象に加わった点です。2026年度は合計38日が休日割引の適用除外日となります。GW・お盆・年末年始・シルバーウィークに加え、7月・9月・10月・11月・1月・2月の3連休も含まれ、年に6〜8回ほど「土日祝なのに割引ゼロ」の日が訪れる設計です。
周遊パス平日限定15%ETCマイレージ還元キャンペーンの使い方
一方で、NEXCO各社は観光需要の平準化に向けた代替策を用意しています。高速道路周遊パスは、対象エリアの高速道路が定額で乗り降り自由になる商品です。ここで重要なのが、周遊パスを平日のみの利用期間で申し込み・利用した場合、販売価格の15%分のETCマイレージサービスポイントが追加付与されるキャンペーンです。
GW本番を外して5月7日以降の平日に絞った小旅行に組み替えれば、周遊パス定額運用と平日15%還元の併用が可能となります。私の取材経験でも、周遊パスは渋滞回避と割引を同時に成立させる有力な手段ですが、認知度は必ずしも高くないのが実情です。FPの立場で見ると、同じ旅行予算で得られる実効値が10〜20%変わる制度は見過ごせません。
たかまさはこう見ている

免許取得以来、無事故無違反で毎年GW移動をしてきた立場から言えるのは、「渋滞は時間の問題」ではなく「制度設計の問題」にも変わったということです。見える渋滞と、見えない割引消失の両方に向き合う設計力が試されています。
今回のGW渋滞予測で私が最も注目したのは、渋滞回数の「上り線+37回」という数字です。下り線の+28回を上回り、Uターンラッシュが特定日に集中している実態を裏付けています。5月5日(火)の関越道・坂戸西SIC先頭40kmは、まさにこの集中の象徴。日帰り日光や群馬温泉帰りの車が、夕方同時に東京方面へ戻るフローが毎年同じ時間帯で再生産されています。
FPの視点でこの数字を読み直すと、見えてくるのは「時間を分散できる家計」と「できない家計」の差です。5月1日(金)に有給休暇を1日取れる会社員と、3連休ルールで割引のない土日だけ動ける共働き世帯では、同じ東京〜名古屋の往復で最大3,840円の差が生まれます。さらに帰省先で過ごす日数が1日違えば、ホテル代やガソリン代の配分も変わる。「いつ動けるか」が家計の現金流出を左右する時代です。
道交法上の視点も外せません。最大渋滞45kmの中央道・小仏トンネル付近では、渋滞末尾への追突が毎年発生しています。ETC休日割引の有無に気を取られて早朝出発した結果、睡眠不足でハンドルを握るのは本末転倒。私は免許取得以来無事故無違反を続けてきましたが、その秘訣の一つが「渋滞区間では諦める勇気」です。安く移動するより、安全に移動する。制度は、動く日をずらせる人と、安全マージンを取れる人の両方にだけ味方します。

