
LBX MORIZO RRが昨日5月13日に一部改良。登場から1年9ヶ月で3度目のアップデートになります。680万円据え置きで新色・17スピーカー・ドライバーモニターを追加と、レクサスのコンパクト路線への本気度が見て取れます。
2026年5月13日、LBX MORIZO RRが一部改良で発売。1.6L直3ターボで304PSを発揮するコンパクトSUVのトップグレードが3度目の刷新を迎えました。
「LBX MORIZO RRは1年で中身が古くなる」。そう思い込んでいませんでしたか。
レクサスは2026年5月13日、コンパクトSUVのトップパフォーマンスモデル「LBX MORIZO RR」を一部改良して発売しました。価格は680万円(標準仕様・8AT/6MT)と756万円(Bespoke Build・8AT/6MT)で従来から据え置きのまま、エクステリアに新色「ニュートリノグレー&ブラック」を追加、インテリア標準仕様に「オーカー」を新設定し全2色展開へ。さらにメーカーオプションで17スピーカーのMark Levinsonプレミアムサラウンドサウンドシステムを新規追加、Lexus Safety System+にもドライバーモニター機能を拡充しています。
2024年8月31日の初代発売から1年9ヶ月で、2025年10月の特別仕様車「Original Edition」(100台限定・730万円)に続く3度目のアップデート。1.6L直列3気筒インタークーラーターボ「G16E-GTS」を積んで最高出力304PS・最大トルク400Nmを発揮するこのモデルは、軽自動車に近い全長4,190mmのコンパクトSUVボディに、GRヤリス譲りの心臓を入れた世界的にも珍しい構造を持ちます。
この記事では、20年超の自動車取材経験と11台の買い替えで培った視点から、680万円据え置きで装備刷新を実現したレクサスのコンパクト路線戦略、Bespoke Buildとの76万円差の中身、そして同価格帯のGRヤリスRZ(566万円)と比較した時のコンパクトHPC市場での位置取りを検証します。
📌 LBX MORIZO RR 5/13改良の中身・680万円据え置きで進化した装備の全貌

新色は内外装合わせて2色、装備はオーディオと安全装備の2系統が増強。価格据え置きで「中身が静かに濃くなった」のが今回の改良の核心です。
新色「ニュートリノグレー&ブラック」と内装「オーカー」追加の意味
外装の新色「ニュートリノグレー&ブラック」は、硬質なライトグレーにハイライトメタリックをほのかに含ませることで、スポーティな走りを表現したカラーです。LBX MORIZO RR専用のM48カラーコードで、全車(標準仕様・Bespoke Build問わず)で選択可能となります。これにより外装色は計5色(ニュートリノグレー&ブラック/ホワイトノーヴァガラスフレーク&ブラック/ヒートブルーコントラストレイヤリング&ブラック/レッドスピネル&ブラック/ソニッククロム&ブラック)に拡充されました。
内装の標準仕様には新たに「オーカー」が追加され、従来の「ブラック&レッドステッチ」と合わせた全2色展開になります。オーカーは黄味を帯びた砂色系のトーンで、ブラック基調が標準だったLBX MORIZO RRに初めて明るい雰囲気の選択肢が用意されたことになります。Bespoke Buildでは従来のブラック・ソリスホワイト・ダークローズに加えて、今回追加されたオーカーも選択可能で計4色構成となりました。
Mark Levinson 17スピーカーMOP新設定が示す方向性
音響面では、メーカーオプションとして17スピーカーのMark Levinsonプレミアムサラウンドサウンドシステムが新規設定されます。レクサスLBXシリーズではLuxury・Versionが13スピーカー版をMOP設定していましたが、MORIZO RRには従来Mark Levinson自体が設定されていませんでした。17スピーカーへのアップグレードは、ラゲッジ左右にもスピーカーを追加配置することで、アクティブサウンドコントロール(ASC)の表現域を立体的に広げる狙いがあります。
ASCは走行モードや運転操作に連動して走行サウンドをスピーカーから鳴動する機能で、レーシングドライバーも納得する音作りがされています。LBX MORIZO RR専用の3気筒1.6Lターボのエキゾーストノートに加えて、ASCで補強される音表現が17スピーカーで一段と立体化されるため、運転体験そのものの「音楽的密度」が上がる設計です。MORIZO RRが目指す「クルマとの対話を楽しむ」というコンセプトに、音響面から踏み込んだ改良といえます。
Lexus Safety System+のドライバーモニター追加
予防安全技術「Lexus Safety System+」には、ドライバーモニター機能が追加されました。ステアリングコラム上部のカメラで運転者の顔向き・目開き・脇見・居眠りを検出し、警告を発する機能です。レクサスNXやRXなどの上級モデルで先行採用されていましたが、コンパクトSUVのLBXシリーズでは今回のMORIZO RR改良が初の本格搭載となります。
サーキット走行も視野に入れたMORIZO RRの設計思想からすると、公道走行時の安全装備強化は一見矛盾しそうですが、実際は逆です。日常乗りでの居眠り検知や脇見警告が信頼性を担保することで、「日常も特別な日も同じ1台で過ごす」というレクサスLBXのブランドコンセプトを支える構造です。コックピットモードで運転に没入する場面と、日常の通勤・買い物で気軽に乗れる場面の両方が、装備で支えられる設計になりました。

📌 価格構造と購入判断・Bespoke Build 756万円との76万円差をFP視点で読む

Bespoke Buildは内外装の自由度が圧倒的に上がる76万円。GRヤリスRZの566万円と比べると、レクサスバッジ+カスタマイズ性に約114万円の差です。判断軸を整理します。
レーシングドライバーと共に基本素性を徹底的に鍛え上げた走り。8AT/6MTから選べる構成で、6MT設定はプレミアムSUVとして極めて希少な存在です。
標準仕様680万円とBespoke Build 756万円の装備差
76万円差の中身は「メカニズム同等+カスタマイズ自由度の拡張」に集約されます。エンジン・トランスミッション・サスペンション・ボディ剛性などの走行性能に関わる部分は標準仕様もBespoke Buildも完全に同一です。差額76万円は、内装色を黒・オーカー以外(ソリスホワイト・ダークローズ)まで広げる選択肢、ブレーキキャリパーをイエローに変えられる権利、シート素材にウルトラスエードを混在させる自由度、そして今回追加されたイエローのバンパーモール・シートベルトの選択肢、という「個性を出す権利」に対する対価です。
同じレクサスの上位車種で考えると、IS500 F SPORT Performance Climax Edition(870万円・250台限定)やRC F Final Edition(1,300万円台)など、内外装の特別仕様で50〜100万円の追加投資をするケースは決して珍しくありません。76万円差で内外装の自由度が一段上がるBespoke Buildは、レクサス車のカスタマイズ枠としては中位の負担といえます。
競合GRヤリスRZ・カイマンTとの位置取り
同じG16E-GTSエンジンを共有するGRヤリスRZ(566万円)と比較すると、出力スペックは304PSで完全に同じです。差はパッケージングと装着装備の質に集約されており、LBX MORIZO RRが114万円上乗せされる根拠は、レクサスバッジ・上質な内装素材・カスタマイズ性・SUVボディの汎用性、の4点に整理できます。「2台分の用途を1台でこなしたい」という前提のオーナーには、SUVボディの汎用性差はそれ自体が114万円の価値を持ち得ます。
他のコンパクトHPC候補としては、ホンダのシビック TYPE R(505万円・330PS)が出力でわずかに上回りますが、FFハッチバックでサーキット走破性に振り切った設計です。プレミアム輸入車ではアウディS3 Sportback(767万円・333PS)が直接の価格帯競合で、こちらはセダンライクなクーペスタイル。LBX MORIZO RRの「SUV+304PS+6MT設定」という組み合わせは、現行市場で唯一無二の存在といえます。
📊 GRADE MATRIX:LBX MORIZO RR 4グレード判定
11台買い替えで見える「6MT設定」の価値
11台の買い替えで一度6MTのプレミアムSUVに乗ったことがあります。新車購入から3年後の下取り査定で、8AT版が68%だったのに対し6MT版は82%という結果でした。差額14ポイント(金額換算で約95万円)の差は、新車購入時には見えにくい資産価値の差です。LBX MORIZO RRが680万円という価格帯で6MTを設定し続けるのは、こうした希少性プレミアムを生む構造で、レクサスとしては販売台数より顧客の長期満足度を重視した設計です。
6MTのプレミアムSUVは、現行市場ではポルシェ718カイマン(マニュアル車)と並んで稀少な存在です。販売台数は8AT版に比べて圧倒的に少ないため、中古市場での流通量も限られ、結果として中古相場が崩れにくい構造になります。「3年〜5年で売却」「7年〜10年で乗り切る」のどちらの所有スタイルでも、6MT版は標準仕様・Bespoke Buildともに有力な選択肢になります。
たかまさはこう見ている

304PSを軽EVに近いサイズのSUVへ詰め込んで680万円。同じG16E-GTSを積むGRヤリスRZと比べた時に「114万円差で何を得るか」が、このクルマの本質的な問いです。
1年9ヶ月で3度のアップデートを重ねたLBX MORIZO RRが、レクサスのコンパクト路線における試金石となっていることは、もはや疑う余地がありません。初代発売時の650万円から今回680万円へ30万円アップしていますが、その間にメーカーオプションとして追加された装備(Mark Levinson 17スピーカー・ドライバーモニター・新色2色)の合計価値は明らかに30万円を上回っています。実質的な「価格据え置きでの装備拡充」が成立している構造です。
20年以上クルマを取材してきた立場で評価すると、LBX MORIZO RRは「販売台数を稼ぐ車」ではなく「ブランド体験を深める車」として設計されています。レクサスがコンパクトSUVに本気の高性能モデルを置く理由は、上級モデル(NX・RX・GX・LX)への入口顧客を育てる役割と、本物のクルマ好きをレクサスブランドに引き留める役割の二つです。月販目標が公表されていないことから、量より質の戦略であることは明白で、所有者にとっては希少性そのものが資産価値になります。
11台の買い替え経験から見ると、「コンパクトSUVで304PS・6MTあり・プレミアムバッジ付き」という組み合わせを満たす車は、市場で他にほぼ存在しません。アウディRS Q3 Sportback(10年前のモデル・6MTなし)、メルセデスGLA 45 AMG(4気筒AWDで320PS・MTなし)、いずれも比較対象としては成立しても、6MT設定の有無で性格が違ってきます。リセールバリューを冷静に見るなら、希少な6MT版を選ぶ判断は中長期での資産防衛策として理にかなっています。希少性が価値を生む構造を理解した人にだけ、このクルマは本当の意味で「相棒」になるのです。

