
フォレスター待望のC型一部改良が、いよいよ3日後の5月21日に発売されます。注目は新グレード「Touring」の追加で、400万円を切る385万円という廉価枠の復活と、SPORT系3グレードの廃止が同時進行する整理改良です。
フォレスターC型に新設定される「Touring」グレード。シンプルなインテリアコーディネートで仕立てた2つの内装色から選べるスタンダードなターボエンジンモデルで、SPORTより下位の廉価グレードとして400万円を切る価格設定が予想されます。スバルは2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞後初の年次改良として、ラインナップ整理と装備標準化を一括で進めます。
「JCOTYを獲った直後の年次改良で、スバルは何を変えてくるのか?」と問われたとき、その答えがこの一部改良に集約されました。
スバルは現行フォレスター(SL系)のC型一部改良を、2026年5月21日(木)に日本発売予定です。最大のトピックはガソリンターボに新設定される「Touring」グレードで、価格は385万円〜と現行SPORT(404.8万円)より19.8万円安く、400万円を切る廉価枠が復活します。アイサイトX搭載の「Touring EX」も約399万円で設定され、ラインナップ整理としてSPORT・SPORT Black Selection・Premium S:HEVの3グレードが廃止される予定です。
S:HEV(ストロングハイブリッド)モデルでは、これまでメーカーオプション扱いだったAC100V/1500Wアクセサリーコンセントが全車標準装備化され、X-BREAK S:HEVは約437万円(+17.6万円)に値上げされる一方、SPORT EXは価格据置となる構造です。Wildernessは今回のタイミングでは導入されず、2026年秋以降のハイブリッド導入が別途予告されています。現行B型は生産終了に伴い販売店在庫対応のみで、新規受注はC型に切り替わっています。
本記事では、C型の改良内容とTouring追加の戦略的意味、RAV4ハイブリッド(450万円超)・PHEV(600万円超)との価格優位性、グレード再編で見えるスバルの双軸戦略を整理します。FP視点での値上げ妥当性検証は末尾で軽く触れます。
📌 フォレスターC型の改良全貌。Touring新設定×SPORT系廃止×S:HEV装備標準化の中身

まずは改良内容を整理します。フォレスターC型は外観・基本パワートレインの変更はなく、グレード再編と装備標準化が改良の中身となります。Touring追加で価格帯が下に伸び、S:HEVは装備強化で実用価値が一段上がる構図です。
Touring/Touring EXは18インチアルミホイール(ダークメタリック塗装+切削光輝)、無塗装ブラックのフロントバンパーガードとサイドクラッディングを標準装備。ファブリック/トリコットシートはブラック(ブルーステッチ)とグレー/プラチナ(ブルーステッチ)の2色から選択でき、シンプルながら質感の高いSUVスタンダードに仕立てられています。
新グレードTouring/Touring EX、ガソリンターボに廉価枠を復活
Touringは1.8L水平対向直噴ターボエンジン“DIT”とリニアトロニックCVT・常時全輪駆動(AWD)の組み合わせで、現行SPORT・SPORT EXと同じパワートレインを使いながら装備を最適化したスタンダードグレードです。価格はTouring 385万円〜・Touring EX 約399万円と予想されており、SPORT EX(419.1万円)から20万円程度下回る位置取りです。Touring EXはアイサイトX搭載で先進運転支援を全面採用、12.3インチフル液晶メーターも標準装備されます。
装備内容を見ると、Touring/Touring EXには18インチアルミホイール(ダークメタリック塗装+切削光輝)、無塗装ブラック(テクスチャー)のフロントバンパーガードとサイドクラッディング、シンメトリカルAWD Dピラーカバーオーナメント(ダークグレー)が標準で備わります。ファブリック/トリコットシートはブラック(ブルーステッチ)とグレー/プラチナ(ブルーステッチ)の2色から選択可能で、SUVの実用性とスタンダードな質感を両立させる構成です。
SPORT・SPORT Black Selection・Premium S:HEV、3グレード廃止の構造
C型ではガソリンモデルの「SPORT」(404.8万円)、特別仕様車の「SPORT Black Selection」(415.8万円)、S:HEV最上位の「Premium S:HEV」(448.8万円)の3グレードが廃止される予定です。これにより、ガソリンターボはTouring/Touring EX/SPORT EX/SPORT EX Black Selectionに整理、S:HEVはX-BREAK S:HEV/X-BREAK S:HEV EX/Premium S:HEV EXに集約される構造となります。
SPORT系の整理は「ガソリンターボの中位グレードを廉価Touringに置き換える」発想で、SPORTで提供されていたウルトラスエード®/合成皮革シート・ブロンズ塗装ホイール・ピアノブラック加飾といった「上質志向」装備は、上位のSPORT EX Black Selectionに集約される構図です。Premium S:HEVの廃止は、S:HEV系を「上位はEX(アイサイトX)一本」とする整理であり、グレードラベル数を絞って選択肢の複雑化を防ぐ目的が見えます。
S:HEV全車にAC100V/1500W標準化、e-BOXERオーナメント廃止
S:HEVモデル最大の装備変更は、これまでメーカーオプションだったアクセサリーコンセント(AC100V/1500W)の標準装備化です。1500W出力はキャンプでの電化製品使用や災害時の非常用電源として実用十分な容量で、ポータブル電源(同等容量で12〜15万円程度)の代替価値が標準でついてくる構造になります。X-BREAK S:HEV(約437万円・+17.6万円)の値上げ幅は、この装備標準化の対価と読めます。
外装の変更点として、これまでS:HEVモデルの前後フェンダー横に配置されていたe-BOXERオーナメントが廃止され、よりシンプルで洗練されたサイドビューへと進化します。スマートリヤビューミラーは画質向上、ワイヤレスチャージャーは充電圧アップで、日常使用の使い勝手も底上げされる細かい改良です。SPORT EXは価格据置で装備強化分が無償付与される好待遇となります。

📌 RAV4超え/Wilderness先送り/JCOTY後の戦略:Touring追加が示すグレード再編の意味

Touringが385万円でラインナップに加わる意味は、フォレスター単体ではなくミドルSUV市場全体の文脈で読む必要があります。RAV4ハイブリッドが450万円超・PHEVが600万円超に到達した今、385万円のSUV選択肢は構造的に希少です。
競合RAV4・CX-5との価格優位性、385万円の構造的意味
ミドルクラスSUVの価格帯を俯瞰すると、現行RAV4はガソリンHYBRID Adventureが約450万円、PHEV Z(GR SPORT)が600万円台に到達しています。マツダCX-5(次期型は2026年内発表予定)の現行モデルはエントリー約290万円〜とフォレスターより安いものの、AWDハイブリッド構成では同等価格帯です。Touring 385万円は、シンメトリカルAWD+ターボ+アイサイトの3点セットを揃えながら、価格帯では「軽SUV上限〜コンパクトSUV中位」に切り込む位置取りとなります。
注目すべきはRAV4のPHEV化と高価格帯シフトとの対比です。RAV4は2026年型でPHEVを主力として600万円台に押し上げる戦略を取っており、トヨタはガソリンエントリー需要を実質的にカローラクロス/ヤリスクロス側に押し出す方向性です。これに対しスバルは「フォレスターでガソリンエントリーを維持する」逆方向の選択で、ガソリンターボ+AWDという独自性で価格訴求を強める構造になります。
Wilderness先送りの戦略的意味、2026年秋以降ハイブリッド導入
北米で人気を博し、ジャパンモビリティショー2025でプロトタイプが出展されたWildernessは、C型のタイミングでは日本導入されない方針が固まりました。スバルは別途、2026年秋以降に「ハイブリッド版Wilderness」を日本に導入する計画を予告しており、ガソリン版Wildernessは北米専売を維持する形となります。これは「悪路走破性能を高めたハイブリッドSUV」というニッチセグメントを、ハリアー・ハイブリッドやRAV4 Adventure HVと差別化する戦略です。
この時期分離には合理性があります。Wildernessは最低地上高236mmの専用サスペンション、ファイナルギヤ変更(駆動力強化)、Yokohama GEOLANDARオールテレーンタイヤなど、ベース車から大きく仕様変更されるモデルで、ハイブリッド化には別途の検証期間が必要です。北米SIA(インディアナ工場)でガソリン版生産が2025年秋から、ハイブリッド版が2026年春から開始される計画もあり、日本仕様はその後の専用設計を経て2026年秋以降の導入となります。
JCOTY受賞後初の改良として、整理改良に込められたメッセージ
フォレスターは2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したばかりで、選考10ベストカーから選ばれた栄誉あるモデルです。受賞後初の年次改良が「廉価グレード追加×3グレード廃止」という整理改良であることは、JCOTY効果で受注が膨らんでいる現状を踏まえると意味深い選択です。現行B型は2025年4月発売以来、北米先行販売の影響で日本仕様はB型からスタートしており、納期遅延が一部報告される人気状況の中での再編となります。
整理改良の含意は「複雑化したグレード階層を絞って販売店現場の説明負担を減らす」「Touring追加で受注機会を広げる」「S:HEV装備標準化で価値訴求を強化する」の3点に集約されます。RJC テクノロジー オブ ザ イヤー2026も受賞しているスバルストロングハイブリッド「S:HEV」の評価が高い中で、HEV系全車に1500Wコンセントを標準化する判断は、技術評価を商品価値に転換する手堅い設計と読めます。
📌 たかまさはこう見ている

11回の買い替え経験で痛感したのは、「廉価グレードの追加は単なる値下げではなく、買い手の判断軸そのものを変える」ということです。Touring385万円の登場は、フォレスター購買層の構造を作り替えるはずです。
20年間自動車業界を取材してきた立場で読み解くと、フォレスターC型のTouring追加は「JCOTY受賞のご褒美をユーザーに分配する整理改良」という構造が見えてきます。受賞モデルは通常、人気が膨らんでも値下げや廉価追加はしないのが業界の通例です。フォレスターはあえて385万円のTouringを追加することで、「JCOTY効果で価格を上げる選択肢」を捨てました。これは長期的なファン層の維持を優先する、スバルらしい判断だと感じます。
もう一つの注目は、S:HEV全車へのAC100V/1500W標準化です。X-BREAK S:HEV +17.6万円という値上げ幅は表面的に見れば負担増ですが、FP視点で家計を考えると見方が変わります。ポータブル電源(同等出力1500W・容量1.5kWh級)が市販で12万〜15万円する現状を踏まえると、車両側に内蔵される非常用電源価値はそれ単体で17.6万円相当か、それ以上の価値があります。災害大国・日本では、車両の災害対応機能は「あれば便利」ではなく「家計の保険」として組み込んで考えるべき時代に入っています。
Wilderness先送りの判断についても、商品戦略として理にかなっています。ジャパンモビリティショー2025で展示されたWildernessは確かに魅力的ですが、ハイブリッド化前提で2026年秋以降に持ち越すという選択は、「Wildernessをスバル車らしさの象徴として育てる」長期視点に基づいた判断です。私が取材したスバル関係者は「Wildernessはガソリン版そのままの導入では、日本市場での価値表現が限定的になる。ハイブリッドと組み合わせて初めて『悪路走破×実用燃費』のスバルらしい二律完成度が実現する」と語っていました。
FP視点で5年総コストを試算すると、Touring 385万円は実勢車両価格(諸費用込み430万円前後)に対して、エコカー減税対象外(ガソリン車)・グリーン化特例対象外で初期コストは表面通り。一方X-BREAK S:HEV 約437万円は、エコカー減税50%・グリーン化特例25%減税対象で、初期コスト実質減額は10万〜15万円規模となります。年間ガソリン代差(年1万km・WLTC実勢比較)は、Touring(13.6km/L想定)が約11万円、X-BREAK S:HEV(18.8km/L)が約8万円で、5年差額は15万円規模。これに非常用電源価値17.6万円を加えると、X-BREAK S:HEVは「価格差52万円のうち、減税15万円・燃費15万円・電源17.6万円=計47.6万円が実質回収される」計算になります。残り4.4万円が「ハイブリッドという技術選択への純粋なプレミアム」と捉えると、判断軸はかなりフラットです。
11回の買い替え経験から言えるのは、「JCOTY受賞直後の改良タイミング」が長期保有を考える購入者にとっての最適期だということです。受賞効果で5年後の中古車相場は底堅く、3年後リセールも安定する見込み。SPORTで揃えていた特別装備が廃止になるのは現所有者には残念ですが、C型購入者にとっては「整理されたラインナップで選びやすく、装備強化で価値が高まる」勝者側の改良と言えそうです。
🔍 この記事のファクトチェックについて
本記事に掲載した車両画像は、すべてSUBARU公式『フォレスター』ページ(https://www.subaru.jp/forester/)から引用しています。引用は著作権法第32条に基づき、報道目的での適正な範囲内で実施しています。

