
ジープが10月7日、9年ぶりに全面刷新した新型コンパスを520万円から発売しました。私が注目したのは新車の横に残った従来型の価格です。入口の差はわずか6万円。その6万円で何が増え、何が消えたのかを価格表と諸元表から読み解きます。
2026年10月7日に発売されたジープ新型コンパス(発売リリース掲載の公式画像)。全長4,550mm・全幅1,910mm・ホイールベース2,785mmへ拡大し、1.2Lターボ+48Vマイルドハイブリッドを全車に搭載します。価格は520万円から595万円です。
出典:ステランティスジャパン公式ニュースルーム『ジープ “Urban Adventure” を体現したモデル 新型「Compass」を発売』(2026年10月7日)
「全面刷新された新型は、旧型よりずっと高い」と思い込んでいませんか。
ステランティスジャパンは2026年10月7日、ジープのミッドサイズSUV「コンパス」の新型を全国のジープ正規ディーラーで発売しました。日本では9年ぶりのフルモデルチェンジです。入口グレードのAltitudeは520万円。同じ日付の価格表に残る従来型Longitudeは514万円で、その差は6万円しかありません。
一方で中身は大きく変わりました。エンジンは2.4L自然吸気から1.2Lターボ+48Vマイルドハイブリッドへ置き換わり、WLTCモード燃費は11.8km/Lから19.6km/Lへ伸びています。ただし使用燃料はレギュラーからハイオクに変わり、従来型にあった4WDは新型のどの仕様にもありません。価格差は小さいのに、得るものと失うものははっきり分かれています。
この記事では、新旧の価格表と諸元表を並べ、グレード差の中身、ハイオク指定を差し引いた燃料費、そしてサイズと駆動方式の注意点を整理し、最後にFP視点で検証します。

📌 新型コンパス520万円と従来型514万円、価格表を並べて見える6万円差と加算額35万円

新型車の記事は新しい価格だけを見がちですが、今回は同じ価格表に旧型が残っています。2枚を並べると、値上げ幅の小ささと、同額のまま駆動方式が入れ替わった上位グレードの関係が見えてきます。
4仕様520万〜595万円、グレード差50万円の中身
発売リリースによれば、新型コンパスはAltitude 520万円、Summit 570万円、Summitにパノラミックルーフなどを加えたSummit Style Package 590万円の3本立てです。これに専用色「Hawaii」をまとう100台限定のThe First Edition 595万円が加わります。パワートレインと駆動方式は全車共通なので、価格差はすべて装備の差です。
AltitudeとSummitの差は50万円です。諸元・装備表を読むと、SummitにはマトリクスLEDヘッドライト、19インチホイール、8ウェイ電動フロントシート、シートベンチレーター、FOCALの9スピーカーオーディオ、ルーフレールなどが加わります。一方で、アダプティブクルーズコントロールや360度ビジョン、16インチのタッチスクリーンといった運転支援と画面まわりは全車標準です。走る・止まる・見るの基本はAltitudeで揃っており、50万円は快適装備と見た目に払うお金と整理できます。
Style Packageの20万円は、デュアルパネルのパノラミックスライディングルーフ、ブラックルーフ、ヘッドアップディスプレイの3点です。ルーフを載せる分だけ車両重量は30kg増え、燃費は19.4km/Lへわずかに下がります。
従来型Longitude 514万円との差は6万円、どちらも加算額35万円込み
ここからが本題です。2026年10月7日現在のジープ全モデル価格表には、新型(New Compass)と並んで2.4Lエンジンの従来型コンパスが掲載されています。つまり新旧は併売です。従来型の価格はLongitudeが514万円、Limitedが570万円で、9月17日に発売された限定車のリリースでも同じ金額が示されていました。
入口同士を比べると、新型Altitude 520万円に対して従来型Longitude 514万円。9年分の世代差が、価格表の上では6万円に収まっています。しかも同じ価格表は、円安に伴う「経済変動加算額」をコンパス・新型コンパスとも35万円(税込)としています。加算額を除いた水準で見れば、新型が485万円相当、従来型が479万円相当という関係です。
この数字が意味するのは、従来型が安くないということです。同社は2026年1月に加算額を導入しており、514万円から35万円を除くと479万円です。中古車情報サイトのカタログに残る2025年までのLongitudeの価格も479万円でした。車の中身は変わらないまま35万円上がった旧型の隣に、中身を一新した新型が6万円差で置かれた。これが今回の価格表の構図です。
Summit 570万円=従来型Limited 570万円、同額で消えた4WD
上位グレードを比べると、もう一つの事実が見えます。新型Summitは570万円、従来型Limitedも570万円。金額は1円も違いません。ところが駆動方式は、従来型Limitedが4WDで9速AT、新型Summitは前輪駆動で6速DCTです。
新型は全車に走行モード切り替えの「Selec-Terrain」を備え、AUTO・SPORT・SNOW・SAND/MUDの4モードが選べます。最低地上高は200mmで従来型の180mmより高く、渡河性能は408mmと発表されています。それでも駆動するのは前輪だけです。雪道や未舗装路で4輪に駆動力が必要な方にとって、新型にはいまのところ代わりになる仕様がありません。同じ570万円で「新しい前輪駆動」か「旧い4WD」かを選ぶ、珍しい売り場になっています。

📌 燃費11.8→19.6km/Lとハイオク指定、年間燃料費と諸元でみる新旧コンパスの損得

燃費が1.7倍になったと聞くと得に見えますが、新型はハイオク指定です。私はまず都合の悪いほうを計算します。ハイオクの負担を引いたうえで、価格差6万円が何カ月で埋まるかを出しました。
新型コンパスの発売リリースに掲載された公式画像。室内には10.25インチのフルデジタルクラスターと16インチのタッチスクリーンを備え、荷室容量は550L(後席を倒すと最大1,560L)です。走行モード「Selec-Terrain」は全車標準で、最低地上高は200mmを確保しています。
出典:ステランティスジャパン公式ニュースルーム『ジープ “Urban Adventure” を体現したモデル 新型「Compass」を発売』(2026年10月7日)
年間燃料費は約5.2万円安く、6万円差は約14カ月で埋まる
年間1万km走る前提で計算します。燃料単価は資源エネルギー庁の給油所小売価格調査(2026年9月28日時点)にもとづき、レギュラー170.2円/L、ハイオク181円/Lとしました。従来型Longitudeは11.8km/Lなので年間約847L、燃料費は約14.4万円です。新型Altitudeは19.6km/Lで年間約510L、ハイオクでも約9.2万円に収まります。
差は年間約5.2万円。車両価格の差6万円は、約14カ月で埋まる計算です。5年乗れば燃料費の差は約26万円になり、価格差を引いても20万円ほど新型が安くなります。車両価格の差はわずか6万円なのに、5年間の燃料費の差は26万円。小さな値札の差の裏に、4倍以上の維持費の差が隠れていました。
ハイオク指定の負担は年約5,500円、引いても残る差
誠実に引き算もしておきます。新型の諸元表に書かれた使用燃料は「無鉛プレミアム」、つまりハイオクです。従来型はレギュラーでしたから、ここは明確な後退です。仮に新型がレギュラーで走れたとすれば年間燃料費は約8.7万円で、ハイオク指定による負担増は年約5,500円と計算できます。
ただ、この5,500円を払ってもなお年5.2万円の差が残ります。燃費が1.7倍になった効果のほうが、単価が1Lあたり10.8円上がる影響よりはるかに大きいためです。タンク容量は60Lから55Lへ減りましたが、満タンでの計算上の航続距離は約708kmから約1,078kmへ伸びます。給油の回数が3分の2に減る点も、日常の使い勝手としては小さくありません。
全幅1,910mmと130kg増、数字で見る注意点
最後に、カタログの見栄えに隠れやすい数字を確認します。全幅は1,810mmから1,910mmへ100mm広がりました。全幅1,850mmまでの機械式駐車場はまだ多く、自宅や勤務先の駐車場に収まるかは契約前に必ず実測したいポイントです。全長も130mm伸びて4,550mmになりました。一方で最小回転半径は5.7mから5.4mへ小さくなっており、取り回しそのものは悪化していません。
動力性能はどうでしょうか。車両重量は130kg増の1,620kg、システム最高出力は145PSで、従来型の175PSから30PS下がりました。1PSあたりの重量は約8.5kgから約11.2kgへ増えています。ただし最大トルク230N・mは従来型とほぼ同じで、発生回転は3,900rpmから1,750rpmへ大きく下がりました。街中の発進や登坂ではモーターの補助も加わるため、数字ほどの鈍さは感じにくい設計です。高速道路の追い越し加速を重視する方は、試乗で確かめる価値があります。
📌 たかまさはこう見ている

20年あまり新型車を取材してきましたが、旧型と新型が6万円差で同じ価格表に並ぶ例は多くありません。値札が近いからこそ、差が出るのは買ったあとです。今回は燃料費と駆動方式の2つで判断が決まります。
なぜ6万円差に収まったのか。背景には、輸入車の価格が車両そのものではなく為替で動く時代になったことがあります。ステランティスジャパンは2026年1月から経済変動加算額を導入し、コンパスには35万円を上乗せしました。従来型は中身が変わらないまま値上がりし、そこへ排気量を半分にして電動化した新型が入ってきた。新型が安いのではなく、旧型が円安で高くなっていたというのが、価格表を縦に読んだ私の結論です。
FP視点で整理します。年1万km・5年保有なら、燃料費の差は約26万円、価格差6万円を引いて約20万円が新型の優位です。自動車税も、排気量2.4Lの従来型より1.2Lの新型のほうが区分は下がります。これまで11台を買い替えてきた経験からいえば、モデル末期の旧型は手放すときの査定でも不利になりやすく、同じ金額を払うなら新型を選ぶ理由のほうが多いと考えます。ただし燃料費の試算はカタログ燃費が前提です。実際の差は走り方で縮みますから、回収期間は14カ月より長めに見ておくのが安全です。
では、どう判断すべきか。舗装路が中心で、駐車場の幅に余裕がある方は新型Altitudeが最有力です。運転支援は全車標準ですから、50万円高いSummitは快適装備に価値を感じる方だけで十分でしょう。反対に、降雪地にお住まいの方や、4WDであることがジープを選ぶ理由だった方は、従来型Limitedが残っているうちに検討する意味があります。価格表に書かれるのは値段だけで、失われた機能は書かれません。新型か旧型かを分けるのは6万円の差ではなく、あなたの道に4輪駆動が要るかどうかです。
🔍 この記事のファクトチェックについて
本記事に掲載した車両画像は、すべてステランティスジャパン公式ニュースルーム(https://www.stellantis.jp/jeep)のプレスリリース『ジープ “Urban Adventure” を体現したモデル 新型「Compass」を発売』(2026年10月7日)に掲載された報道用公式画像から引用しています。ヒーロー画像・サブ画像とも同リリースの掲載画像です。引用は著作権法第32条に基づき、報道目的での適正な範囲内で実施しています。
