
レクサスLXが10月1日に一部改良を受け、既存6仕様がそろって110万円高くなりました。新設のF SPORTを加えた全8仕様を並べると、1,700万円に3仕様が同居しています。価格表の縦読みで、選び方の軸が見えてきます。
2026年10月1日の一部改良で新設されたLX700h “F SPORT”(ニュートリノグレー)。メッシュパターンの専用スピンドルグリルと22インチ鍛造アルミホイールを備え、価格は1,800万円です。同じ装備のLX600 “F SPORT”は1,700万円で、ハイブリッドの標準仕様と同額に並びます。
出典:トヨタ自動車グローバルニュースルーム『LEXUS、「LX」を一部改良するとともに、”F SPORT”を追加設定』(2026年10月1日)
「値上げは高いグレードほど重い」と思い込んでいませんか。
レクサスは2026年10月1日、フラッグシップSUV「LX」を一部改良し、新グレード”F SPORT”を加えて同日発売しました。価格は1,560万円から2,210万円。改良前から続く6仕様は、入口のLX600も最上級のLX700h “EXECUTIVE”も、そろって110万円高くなっています。上げ幅が同じなら、率で重くなるのは安い側です。入口のLX600は7.6%、最上級は5.2%の上昇でした。
もう一つ、トヨタ公式リリースの価格表には目を引く並びがあります。1,700万円という同じ値札に、LX600 “F SPORT”、LX700h、LX700h “OVERTRAIL+”の3仕様が同居しているのです。走りの専用装備を取るか、ハイブリッドを取るか、悪路性能を取るか。3つの性格が1円の差もなく横に並びました。
本記事では、全8仕様の価格を改良前と突き合わせ、F SPORTとハイブリッドそれぞれの差額がグレードによって100万円と140万円に分かれる理由を整理します。最後に、ハイブリッド差額を燃料代で回収できるのかをFP視点で検証します。

📌 レクサスLX全8仕様の価格表、一律110万円高と1,700万円に並ぶ3仕様の読み方

値上げ幅を「額」で見るか「率」で見るかで、景色は変わります。全仕様110万円という横一線の改定は、率に直すと入口ほど重い。価格表は、額と率の両方で読むのが鉄則です。
1,560万〜2,210万円、既存6仕様はそろって110万円高
トヨタ公式リリースの価格表によれば、改良後のLXは全8仕様です。ガソリンのLX600が標準1,560万円、”OVERTRAIL+”1,600万円、”F SPORT”1,700万円、4人乗りの”EXECUTIVE”2,110万円。ハイブリッドのLX700hが標準1,700万円、”OVERTRAIL+”1,700万円、”F SPORT”1,800万円、”EXECUTIVE”2,210万円です。
これを2025年3月の改良時点の価格と突き合わせると、既存6仕様の上げ幅はすべて110万円でした。装備の違いに応じて上げ幅を変えるのではなく、車種全体に同じ額を載せた改定です。額が同じなら、率は元値が安いほど大きくなります。LX600の標準仕様は1,450万円から7.6%の上昇、LX700h “EXECUTIVE”は2,100万円から5.2%の上昇で、入口と最上級では上昇率に2.4ポイントの開きがあります。
1,700万円に3仕様、F SPORT差はガソリン140万円・ハイブリッド100万円
新設の”F SPORT”は、標準仕様との差額がパワートレーンで割れています。LX600では1,560万円から1,700万円へ140万円高、LX700hでは1,700万円から1,800万円へ100万円高です。同じ名前の同じ専用装備なのに、ガソリンのほうが40万円高いことになります。
同じ40万円のずれは、ハイブリッドの差額にも現れます。LX600とLX700hの価格差は、標準仕様だけが140万円で、”OVERTRAIL+”、”F SPORT”、”EXECUTIVE”はいずれも100万円です。手がかりはホイールにあります。LEXUS公式サイトによれば、22インチ鍛造アルミホイールはLX700hの標準仕様では標準装備、LX600の標準仕様ではオプションで、LX600は20インチが標準です。LX600は標準仕様だけ装備が一段軽く、F SPORTを選ぶとその差もまとめて埋まる。40万円のずれは、この装備差に相当すると読めます。
この結果として生まれたのが、1,700万円の3仕様です。LX600 “F SPORT”は走りの専用装備、LX700hはハイブリッド、LX700h “OVERTRAIL+”はハイブリッドと悪路装備。同じ予算で何を優先するかを、価格表が買い手に直接問いかける並びになりました。
2022年の発売時1,250万円から、4年9カ月で310万円高
現行LXは2022年1月12日に発売され、当時のLX600は1,250万円でした。2025年3月の改良で1,450万円へ200万円上がり、今回さらに110万円上がって1,560万円です。発売から4年9カ月で310万円、率にして24.8%の上昇になります。4人乗りの”EXECUTIVE”も1,800万円から2,110万円へ、同じ310万円上がりました。
2回の改定はどちらも、グレードを問わず同じ額を載せる形でした。そのため入口のLX600が24.8%上がった一方、”EXECUTIVE”は17.2%の上昇にとどまっています。買える人の裾野を決める入口価格ほど速く上がる。これが、現行LXの価格改定に一貫する形です。

📌 F SPORTの専用装備とOVERTRAIL+の265/70R18化、ハイブリッド差額の回収年数

カーソムリエとして装備表を読むと、F SPORTの中身は飾りではなく足まわりです。前後のダンパー、トルセンLSD、リヤスタビライザー。車重2.5トン超の車体を曲げるための部品に値札が付いています。
“F SPORT”専用の22インチ鍛造アルミホイール(スーパーグロスブラックメタリック塗装)と265/50R22タイヤ。LX600の標準仕様は20インチが標準のため、LX600で”F SPORT”を選ぶとホイールは2インチ大きくなります。
出典:トヨタ自動車グローバルニュースルーム『LEXUS、「LX」を一部改良するとともに、”F SPORT”を追加設定』(2026年10月1日)
F SPORTは前後パフォーマンスダンパーとトルセンLSD、22インチ鍛造が標準
公式リリースによれば、”F SPORT”には専用チューニングの前後パフォーマンスダンパー、トルセンLSD、リヤスタビライザーが標準で付き、EPS(電動パワーステアリング)とAVS(減衰力可変サスペンション)も専用の味付けです。ホイールは22インチ鍛造アルミのスーパーグロスブラックメタリック塗装で、タイヤは265/50R22。外観はメッシュパターンの専用スピンドルグリル、内装はセミアニリン本革のスポーツシート、ディンプル本革ステアリング、アルミ製スポーツペダルが専用です。
色の設定も専用です。外板色は専用色「ニュートリノグレー」を含む全6色、内装色は専用色「フレアレッド」を含む全3色。12.3インチのTFT液晶メーターには専用のレイアウトが3種類用意されました。なお、レッドブレーキキャリパーはオプション設定です。差額100万〜140万円の中心は、見た目よりも車体を支える部品にあります。
OVERTRAIL+は18インチのまま265/70R18へ、全仕様でEPSと足まわりを再調整
“OVERTRAIL+”はタイヤサイズが265/65R18から265/70R18へ変わりました。ホイール径は18インチのままで、偏平率を65から70へ上げてタイヤの外径を大きくした形です。公式リリースは、最低地上高を高めて岩石路などの悪路走破性を上げることを狙いに挙げています。WLTCモード燃費はLX600 “OVERTRAIL+”が8.1km/Lで、標準仕様の8.0km/Lをわずかに上回ります。
全仕様に共通する変更は2点です。EPSのチューニングを見直して操舵感を整えたこと、サスペンション特性を見直して操縦安定性と乗り心地を両立させたこと。このほかLX600の標準仕様に新意匠の20インチアルミホイール、外板色に「ホワイトノーヴァガラスフレーク」が加わりました。今回の110万円は、新しい機能の追加というより熟成の改良に付いた値札です。
燃費9.3km/Lと8.0km/L、ハイブリッド差額の回収は31〜44年
LEXUS公式サイトによれば、WLTCモード燃費はLX700hが9.3km/L、LX600が8.0km/Lです(”F SPORT”はそれぞれ9.2km/Lと7.9km/L)。どちらもハイオク仕様で、資源エネルギー庁の調査ではハイオクの全国平均は2026年9月28日時点で181.0円/Lでした。年間1万km走ると仮定すると、燃料代はLX600が約22.6万円、LX700hが約19.5万円。差は年に約3.2万円です。
この差でハイブリッドの差額を割ると、標準仕様の140万円は44.3年、”EXECUTIVE”の100万円は31.6年、”F SPORT”の100万円は30.9年かかります。車両価格の差は100万円単位なのに、燃料代の差は年3万円台。LX700hを燃費で選ぶ理由は、数字の上では成り立ちません。
📌 たかまさはこう見ている

20年あまり価格改定を追ってきましたが、車種全体に同じ額を載せる改定は、入口の客層を静かに入れ替えます。LX600は4年9カ月で310万円高。値札が示しているのは、選ぶ側ではなく選ばれる側の変化です。
なぜ一律110万円なのか。公式リリースは値上げの理由に触れていませんが、価格表の形は一つのことを語っています。装備の原価に応じた改定なら、ホイールやタイヤが変わった仕様とそうでない仕様で上げ幅が分かれるはずです。それが横一線ということは、個々の装備ではなく車種全体の値付け水準を引き上げた改定と読むのが自然でしょう。2025年3月の200万円高も同じ形でした。そのたびに、率で最も重くなるのは入口のLX600です。
次に、1,700万円の3仕様をどう選ぶか。燃料代の差は年3万円台ですから、ハイブリッドの100万〜140万円は燃費では取り戻せません。LX700hの価値は、モーターが加わる発進の力強さと静かさ、そして手放すときの評価にあります。私自身、11台を買い替えてきて痛感するのは、高額車ほど「買うときの差額」より「売るときの差額」のほうが大きく動くということです。ただしLX700hは登場から1年半あまりで、中古車市場での実績はまだ薄い。新設のF SPORTは実績がゼロです。リセールを理由に選ぶなら、根拠になるデータが出そろっていない点は差し引いて考える必要があります。
そのうえで判断軸を整理します。舗装路が中心で、大きな車体をきびきび動かしたい方は、足まわりに値札が付いたLX600 “F SPORT”。長く乗り、静かさと余裕を重視する方はLX700hの標準仕様。林道や雪道に実際に入る方は、同額で悪路装備が付くLX700h “OVERTRAIL+”が合理的です。予算を1,560万円に抑えたい方は、LX600の標準仕様が20インチである点を確認し、22インチが必要かどうかを先に決めてください。同じ値札に3つの答えが並ぶとき、価格はもう答えを教えてくれません。決めるのは、自分がその車をどこでどう走らせるかです。
🔍 この記事のファクトチェックについて
本記事に掲載した車両画像は、すべてトヨタ自動車グローバルニュースルーム(https://global.toyota/jp/newsroom/)の公式プレスリリース『LEXUS、「LX」を一部改良するとともに、”F SPORT”を追加設定』(2026年10月1日)に掲載された報道用公式画像から引用しています。ヒーロー画像はLX700h “F SPORT”(ニュートリノグレー)、サブ画像は”F SPORT”専用の22インチ鍛造アルミホイールです。引用は著作権法第32条に基づき、報道目的での適正な範囲内で実施しています。
