
ボルボが9月10日、XC40の2度目の大幅改良を発表しました。私が驚いたのは装備より価格です。欧州の入口グレードは4万3,990ユーロ、円に直すと約790万円。日本の現行XC40は509万円から買えます。この差の正体を、税をそろえて分解しました。
2026年9月10日に発表された改良型XC40。トールハンマー形状のマトリクスLEDヘッドライトを新デザインとし、グリル・フロントバンパー・ボンネット・フロントフェンダーまで作り直しました。2017年のデビューから10年目に入るモデルとしては異例の手の入れ方で、欧州では発表当日から受注を開始し、生産は今秋に始まります。
出典:Volvo Cars Global Media Newsroom『Images XC40 2027』(2026年9月10日公開リリース関連画像)
「輸入車は日本で買うと割高だ」と思い込んでいませんか。
ボルボ・カーズは2026年9月10日、コンパクトSUV「XC40」と、その電動版「EX40」「EC40」の改良新型を発表しました。ドイツで報じられた新価格は、48Vマイルドハイブリッドの入口グレード「B3 Essential」が4万3,990ユーロ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが公表した9月28日の仲値(1ユーロ=179.59円)で換算すると約790万円です。一方、日本のボルボ公式サイトに載る現行XC40の入口「Essential B3」は509万円。同じ2.0Lターボ・163PSのB3同士で、見かけの差は281万円に達します。
もちろん、欧州の価格には19%の付加価値税が、日本の価格には10%の消費税が含まれています。そこで両方から税を抜いて比べ直しても、欧州は約664万円、日本は約463万円で、差はなお201万円。逆算すると、日本の509万円は「1ユーロ=約125円」の時代の値付けで据え置かれている計算になります。
本記事では、改良新型XC40の欧州価格と日本現行価格の差を税込・税抜の両面で分解し、改良の中身、そして電動版EX40の価格差まで整理します。最後に、改良版の日本導入を待つべきか、現行車を今買うべきかを、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点で検証します。

📌 改良新型XC40の価格を読む、欧州B3は4万3,990ユーロで日本の509万円と税抜でも201万円差

内外価格差の比較は、税をそろえないと話が始まりません。付加価値税19%と消費税10%の差は、それだけで1割近い開きを生むからです。今回は税を抜いた土俵に並べ直してから結論を出します。
欧州の新価格はB3 Essential 4万3,990ユーロから、円換算で約790万円
ドイツの大手自動車ポータルAutoScout24が報じた改良新型の価格は、XC40がB3(120kW/163PS)Essentialの4万3,990ユーロと、B4(145kW/197PS)Coreの4万8,990ユーロの2本立てです。いずれも2.0Lターボに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた前輪駆動で、B4はミラーサイクルを採用します。欧州向けWLTP複合燃費はB3で6.5L/100km、日本式に直すと約15.4km/Lです。
これを三菱UFJリサーチ&コンサルティングの9月28日の仲値1ユーロ=179.59円で換算すると、B3が約790万円、B4が約880万円。一方、日本のボルボ公式サイトの現行XC40は、Essential B3が509万円、Plus B3が559万円、Ultra B3が599万円、Ultra B4 AWDが649万円です。日本のB3も欧州と同じ120kW(163PS)・265N・mの2.0Lターボ+48Vハイブリッドで、WLTCモード燃費は14.8km/L。心臓部が同じB3同士で、欧州の入口が日本の最上級Ultra B4 AWDより約141万円も高いという、にわかには信じがたい並びになっています。
付加価値税19%と消費税10%をそろえると、差は201万円・日本は1ユーロ125円相当
ここが本記事の本題です。欧州の4万3,990ユーロには19%の付加価値税が含まれています。これを抜くと3万6,966ユーロ、円換算で約664万円。日本の509万円から消費税10%を抜くと約463万円です。見かけの差281万円のうち約80万円は税率の違いで説明がつきますが、残る201万円は税では説明できない純粋な価格差です。日本の税抜価格は、欧州の税抜価格の約70%にとどまります。
では、日本の463万円は何円のユーロで計算すれば欧州と同じになるのか。463万円を3万6,966ユーロで割ると、1ユーロ=約125円。これは2020年ごろの為替水準です。つまり日本の現行XC40は、今の179円台ではなく、ユーロがいまより3割安かった時代の値札に近い水準で売られている計算になります。
ただし、この比較には引き算すべき要素もあります。欧州のEssentialと日本のEssentialが装備面で完全に同じとは限りません。日本のEssential B3は、先進安全機能や360度カメラを標準装備しつつ内装素材などを見直して、2025年7月に509万円で追加された戦略グレードです。また欧州価格は改良新型、日本価格は改良前の現行型であり、新しい11.2インチ画面や新センサー群のコストは日本価格にまだ乗っていません。それでも、改良分のコストを多めに見積もったとしても、201万円の差を埋めるほどにはならないでしょう。
日本価格は3年で30万円しか上がっていない、据え置きの裏側
日本のXC40の価格推移を振り返ると、据え置きの異様さがより鮮明になります。2023年5月の仕様変更時、Plus B3は529万円でした。現在のPlus B3は559万円で、3年余りで上昇幅は30万円(約5.7%)。同じ期間にユーロは大きく円安が進みましたが、価格改定はその一部しか転嫁していません。さらに2025年7月には、Plus B3より50万円安い509万円のEssential B3を追加し、入口価格を実質的に引き下げてさえいます。
これは、ボルボ・カー・ジャパンがXC40を日本市場の量販の柱として、為替差を自社側で吸収してきた結果と読むのが自然です。問題は、改良新型が日本に導入されるときです。新しいヘッドライト、11.2インチ画面、新しいレーダーやカメラ一式、12個の新しい超音波センサーという大規模な改良は、価格を見直す格好の理由になります。日本導入時の価格は現時点で未発表ですが、欧州との201万円の差を考えれば、現行価格のままの導入は考えにくいと私は見ています。

📌 11.2インチ画面・Gemini・12個の新超音波センサー、10年目のXC40改良の中身とEX40の価格差

デビュー10年目のモデルに、センサー一式を総入れ替えするほどの改良を施すのは珍しいことです。ボルボ自身が「今後何年もベストセラーであり続ける」と明言しており、XC40を長く売り続ける意思がはっきり表れています。
XC40と同時に改良された電動版のEX40。新デザインのマトリクスLEDヘッドライトとリアライトをXC40と共有します。欧州では70kWh電池のP5から82kWh電池のP8 Performance AWDまで3仕様をそろえ、公式発表の航続距離は最大575km(WLTP)です。
出典:Volvo Cars Global Media Newsroom『Images EX40 2027』(2026年9月10日公開リリース関連画像)
顔と画面とセンサーを総入れ替え、改良の中身を3つに分解する
ボルボ・カーズの公式リリースによれば、改良は大きく3つの領域に及びます。1つ目はデザインです。トールハンマー形状のマトリクスLEDヘッドライトを新デザインとし、グリル、フロントバンパー、ボンネット、フロントフェンダーを刷新。XC40とEX40はリアライト、テールゲート、リアバンパーも新しくなり、XC40には18・19・20インチの新デザインのダイヤモンドカットホイールが用意されます。
2つ目はインフォテインメントです。センターの画面はより大きく精細な11.2インチとなり、主要機能にたどり着くまでのタップ数を減らしました。さらにGoogleの次世代AIアシスタント「Gemini」を搭載し、目的地の計画や立ち寄り先の検索、メッセージの管理を日常の言葉で頼めるようになります。XC40にはアリアンヌ・カルダモン色のレザーとブラウンアッシュのウッドパネルの組み合わせが初めて設定されました。
3つ目が安全装備で、ここが最も大きな変化です。新しいソフトウェアとセンサーのプラットフォームを採用し、フロントとコーナーのレーダー、フロントカメラ、リアのコーナーレーダー、12個の超音波センサー、パーキングカメラをすべて新しくしました。これにより、ドアを開ける前に後方から来る自転車などを知らせる「ドアオープニングアラート」、車線変更支援を加えたパイロットアシスト(オプション)、3D表示に進化した360度カメラ(オプション)が加わっています。ソフトウェアは無線で更新され、納車後も機能が追加されていく設計です。
EX40の欧州上乗せは3,500ユーロ、日本は150万円で2.4倍の開き
同時に改良されたEX40の欧州価格は、P5 Essential(175kW・70kWh・WLTP航続477km)が4万7,490ユーロ、P5 Long Range(185kW・82kWh・576km)が5万3,090ユーロ、P8 Performance AWD(325kW・82kWh・538km)が6万590ユーロと報じられています。注目すべきは、同じEssentialのXC40 B3との差がわずか3,500ユーロ(約63万円・約8%)しかないことです。ヒートポンプは全車標準とされています。
日本の現行ラインアップで同じ比較をすると、XC40 Ultra B3の599万円に対し、EX40 Ultra Single Motor Classic Editionは749万円で、差は150万円(約25%)。欧州の約63万円と比べて2.4倍の上乗せです。国のCEV補助金は、次世代自動車振興センターの2026年4月1日以降登録分の銘柄別一覧で、EX40 Ultra Single Motor系が36万円。これを差し引いても実質差は114万円で、欧州の上乗せ幅を大きく上回ります。日本ではXC40が「円高時代の価格」で安く売られている分、EX40との価格差が相対的に大きく見えるという構図です。なお日本仕様EX40 Classic EditionのWLTCモード航続距離は590kmで、欧州の測定方式とは単純比較できません。
📌 たかまさはこう見ている

改良のニュースは「新しくなって良かった」で終わりがちです。でも買う側にとって大事なのは、新しくなったものが日本にいくらで来るのか、という一点です。今回はその答えを先に計算しておきました。
なぜ日本のXC40はここまで割安なのか。背景には、日本市場の輸入車は価格の上限感が強く、500万円台がひとつの心理的な壁になっているという事情があると私は見ています。ボルボ・カー・ジャパンは、ユーロ高の中でもXC40を500万円台に踏みとどまらせ、Essential B3で入口を509万円まで下げてきました。そのために為替差を利益の側で吸収してきたのでしょう。しかし、10年目の大改良で新しいセンサーと画面が載れば、原価は確実に上がります。改良版の日本導入は、為替と原価の両方の積み残しを一度に精算するタイミングになりやすいというのが私の読みです。
FP視点で「待つか・今買うか」を試算します。仮に改良版の日本価格が入口で50万円上がったとしても、それは欧州との201万円の差の4分の1にすぎません。一方で現行のEssential B3を今買えば、509万円で2.0Lターボ・163PS・WLTC 14.8km/Lの完成されたパワートレーンと、先進安全機能や360度カメラが手に入ります。注意したいのは、改良版の登場で現行型の中古車相場が下がる点です。私自身11台を買い替えてきた経験から言えば、モデル末期の新車は値引きの余地が大きい反面、3〜5年後の売却時にはマイナーチェンジ前の型として査定されることを織り込む必要があります。5年以上乗り続ける前提なら、改良前の現行型を割安な今の価格で買うのは十分に合理的です。3年程度で乗り換えるなら、センサーと画面が新しい改良版を待ったほうが、売却時の評価で取り返せる可能性があります。
そして電動化を考えている方は、EX40の日本価格が欧州よりXC40との差を大きく取っている点を覚えておいてください。欧州ではXC40にあと3,500ユーロ足せばEX40に手が届きます。日本では補助金を差し引いても114万円の差が残ります。同じクルマでも、どの国で買うかによって、エンジン車とEVのどちらが「得」に見えるかが変わる。為替を吸収し続けた日本の値札は、いま輸入車の価格が「国ごとの事情で決まっている」ことを静かに映し出しているのです。
🔍 この記事のファクトチェックについて
本記事に掲載した車両画像は、すべてVolvo Cars Global Media Newsroom(https://www.volvocars.com/intl/media/)で公開されている報道用公式画像から引用しています。ヒーロー画像は改良新型XC40、サブ画像は改良新型EX40のフロントスリークォーターです。引用は著作権法第32条に基づき、報道目的での適正な範囲内で実施しています。
