
スバル・フォレスターが2025年度JNCAPで「ファイブスター大賞」を受賞しました。総得点184.62点という数字以上に注目すべきは、評価対象がわずか4車種で、★5を獲得したのがフォレスター1台のみだったという構図です。賞の希少性の裏側まで読み解きます。
2025年度JNCAP「自動車安全性能2025 ファイブスター大賞」を受賞したフォレスター「Premium S:HEV EX」(日本仕様車)。2.5L水平対向ストロングハイブリッド「S:HEV」と新世代アイサイトを搭載するC型改良モデルで、価格は464万2000円。サイクリスト対応歩行者保護エアバッグを世界初採用し、全モデルに標準装備しています。
出典:株式会社SUBARU ニュースリリース『SUBARU「フォレスター」JNCAP「自動車安全性能2025 ファイブスター大賞」を受賞』(2026年5月28日)
「安全性能の最高賞だから、激戦を勝ち抜いた証だ」。そう思い込んでいませんか。
2026年5月28日、独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)は、スバル・フォレスターが自動車アセスメント(JNCAP)「自動車安全性能2025 ファイブスター大賞」を受賞したと発表し、表彰式を開催しました。衝突安全性能ランクA/91.22点、予防安全性能ランクA/85.40点、事故自動緊急通報装置8点、総得点184.62点(193.8点満点)という高水準での受賞です。ところが、2025年度の評価対象はわずか4車種。★5(ファイブスター賞)を獲得したのはフォレスター1台のみで、残る3車種は★4でした。
最高賞「大賞」は、ファイブスター賞を獲得した車種のうち最高得点の1台に贈られます。つまり今回は、★5が1台しかいなかったため、その1台が自動的に大賞となった構図です。スバルにとってJNCAP大賞は2020年度レヴォーグ、2021年度レガシィアウトバック、2023年度クロストレック/インプレッサに続く4度目。安全思想の継続性は本物ですが、賞の「分母」が極端に小さかったことも事実です。
本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点も交えながら、フォレスターの受賞内容と価格・グレード構造、評価対象が4車種に縮小した業界構造、そして「JNCAP最高評価」が車両保険のASV割引や残価にどう効くのかという、購入者にとっての実利まで検証します。

📌 フォレスター受賞の中身、184.62点の内訳とサイクリスト対応エアバッグ世界初採用

受賞内容を点数まで分解すると、フォレスターの強みが見えてきます。特に予防安全85.40点は満点85.8点にほぼ肉薄しており、新世代アイサイトの完成度がうかがえます。
総得点184.62点の内訳、衝突・予防・通報の3分野
JNCAPの総合評価は、衝突安全性能・予防安全性能・事故自動緊急通報装置の3分野の合計点で★の数が決まります。スバル公式リリースによれば、フォレスターの得点は衝突安全性能ランクA/91.22点(100点満点)、予防安全性能ランクA/85.40点(85.8点満点)、事故自動緊急通報装置8点(8点満点)、総得点184.62点(193.8点満点)です。得点率に直すと総合で約95.3%。とりわけ予防安全は満点に対し99.5%という水準で、ほぼ取りこぼしのない評価でした。
大賞の条件は「衝突安全性能および予防安全性能の評価がともにAランク、かつ事故自動緊急通報装置を備えていること」が前提で、その上でファイブスター賞を獲得した車種の中の最高得点車に贈られます。フォレスターはこの条件をすべて満たし、2025年度の最高得点を記録しました。なお評価項目は2024年度から、交差点の事故に対応した衝突被害軽減ブレーキ評価や、相手車両への加害性も考慮する新オフセット前面衝突評価などが導入されており、過去年度の点数との単純比較はできない点には注意が必要です。
サイクリスト対応歩行者保護エアバッグの世界初採用と新世代アイサイト
得点を支えた実装の中身も明確です。衝突安全性能では、スバルグローバルプラットフォームとフルインナーフレーム構造を採用し、バンパービーム採用領域の拡大や衝突サブフレームの追加で衝突エネルギーの吸収率を高めています。注目は8つの乗員保護エアバッグに加え、歩行者・サイクリストの頭部保護に寄与する「サイクリスト対応歩行者保護エアバッグ」を世界初採用し、全モデルに標準装備(日本仕様車のみ)した点です。この技術は2025〜2026 日本自動車殿堂「カーテクノロジー オブ ザ イヤー」も受賞しており、第三者評価でも完成度が裏付けられています。
予防安全性能では、ステレオカメラに加え広角単眼カメラや前側方レーダーを搭載した新世代アイサイトを採用。ソフトウェアの進化と電動ブレーキブースターの組み合わせにより、交差点の右左折時や見通しの悪い場所での出会い頭など、幅広いシーンで衝突回避をサポートします。さらにコネクティッドサービス「MySubaru Connect」により、事故やトラブル時の遠隔サポートを24時間365日提供します。フォレスターはこのC型改良モデルが「2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞しており、安全評価と商品力評価の両面で2025年度を象徴する一台になりました。

📌 対象4車種に縮小した業界構造と、フォレスターの価格・グレード戦略

対象が4車種という事実は、フォレスターの価値を下げるものではありません。ただ「最高賞」という言葉を額面どおりに受け取る前に、評価の母数を知っておくと、賢い読み手になれます。
2026年5月21日発表のC型改良モデルで新設定された「Touring EX」。1.8L直噴ターボエンジン搭載のスタンダードグレードで、価格は399万3000円。新エントリーの「Touring」は385万円からと、シンメトリカルAWDの走りと最高評価の安全性能を400万円を切る価格で選べるようになりました。受賞車のPremiumなどS:HEV系を含め、全グレードでサイクリスト対応歩行者保護エアバッグを標準装備します。
2025年度の評価対象はなぜ4車種だったのか
今回の受賞でもっとも見落とされがちなのが、評価の母数です。Motor Fan(2026年5月28日付)によれば、2025年度JNCAPの対象は全部で4車種。そのうち★5を獲得したのはフォレスター1台のみで、残る3車種はいずれも★4でした。フォレスターは★5(ファイブスター賞)と、その中の最高得点に贈られる大賞をダブル受賞した格好です。同記事は、対象車種が少なかった要因として「近年のブランニューモデルの少なさと新車供給状況から、NASVAが試験用の車両を入手できていない」という構造的背景を指摘しています。
JNCAPの評価には市販車両を試験用に確保する必要があり、新車の供給が滞れば試験対象も自然に絞られます。実際、2025年度の公表は第4弾のMINI「COUNTRYMAN」まで段階的に行われましたが、★5に届いたのはフォレスターだけでした。これは「フォレスターが激戦を勝ち抜いた」というより、「高水準の安全性能を備えた1台が、母数の小さい年に確実に最高点を取った」と理解するのが正確です。安全性能そのものの価値は揺るがない一方、「大賞=群を抜く激戦の勝者」というイメージとは、実態に少しズレがあります。賞の額面と中身を分けて読むのが、賢い消費者の姿勢です。
受賞車Premium S:HEV EXの価格と、Touring追加でのレンジ拡張
受賞したのはS:HEV(2.5L水平対向ストロングハイブリッド)の最上級「Premium S:HEV EX」で、価格は464万2000円です。一方、2026年5月21日のC型改良では、1.8L直噴ターボを積む新グレード「Touring」(385万円)「Touring EX」(399万3000円)が追加され、最高評価の安全装備を全車標準で備えたまま、入口価格が400万円を切る水準まで下がりました。サイクリスト対応エアバッグや新世代アイサイトはグレードを問わず標準なので、安全性能の観点ではエントリーグレードでも受賞車と同じ土俵に立てる設計です。
フォレスターのC型は、ハイブリッド「S:HEV」グレードでアクセサリーコンセント(AC100V/1500W)が全車標準化されるなど、実用装備も強化されています。安全性能で最高評価を得たモデルが、エントリーで385万円から、受賞グレードで464万2000円までという価格レンジを構成している点は、購入検討者にとって「どこまで払えば何が変わるのか」を考えやすい設計といえます。安全装備は全車共通なので、価格差はパワートレインや快適装備の差と整理できます。
📌 たかまさはこう見ている

賞のニュースは「すごい」で終わりがちですが、購入者が知りたいのは「自分の財布にどう効くか」です。安全評価は、車両保険と残価という2つの実利に静かにつながっています。
20年以上自動車業界を取材してきて、JNCAPの受賞ニュースが「最高賞を獲りました」で消費されていく光景を何度も見てきました。今回も多くの報道がリリース転載にとどまっています。しかし本当に押さえるべきは、2025年度の★5がフォレスター1台だけだったという母数の事実と、その安全性能が購入者の家計にどう効くのかという2点です。フォレスターの184.62点は文句なしの高水準で、サイクリスト対応エアバッグの世界初採用も実装の本気度を示しています。それでも「最高賞」を激戦の勝利と読むか、母数の小さい年の確実な最高点と読むかで、ニュースの意味は変わります。
そして安全評価は、家計と無関係ではありません。車両保険には、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)搭載車を対象とする「ASV割引」があり、損保各社で保険料率に対して一律9%の割引が適用されます。ただしこの割引は新車登録から約3年間の暫定措置で、その後は「型式別料率クラス」へ移行します。ここが重要で、料率クラスは型式ごとの事故実績で決まるため、安全性能が高く事故率の低い車種は、ASV割引が切れた後の料率クラスでも保険料が抑えられやすい構造です。JNCAPで最高評価を得るような車は、3年後以降の保険コストでも有利に働く可能性が高いということです。無事故・無違反を20年以上続けてきた身として言えば、安全装備は「事故を防ぐ」だけでなく「事故率の低さが数年がかりで保険料に跳ね返る」という、時間差の経済効果を持っています。
FP視点で検証すると、フォレスターのような高安全評価車は「購入時の装備充実」と「中長期の保険・残価」の両面で合理性があります。残価の観点でも、安全装備と受賞歴は中古市場での訴求材料になり、リセールを下支えする要素です。エントリーのTouring 385万円なら、最高評価の安全性能を入口価格で確保しつつ、価格差はパワートレインの好みで判断できる。賞の派手さに惑わされず、「全車標準の安全装備」「ASV割引9%と約3年後の料率クラス」「受賞歴が支える残価」という3つの実利で見れば、フォレスターは堅実な選択になります。安全をニュースの見出しで終わらせず、家計の数字に翻訳して考える。それが、車選びで損をしないための一番の近道です。
🔍 この記事のファクトチェックについて
本記事に掲載した車両画像は、すべて株式会社SUBARU公式ニュースリリース(https://www.subaru.co.jp/news/)の画像から引用しています。ヒーロー画像は2026年5月28日のJNCAPファイブスター大賞受賞リリース(フォレスター「Premium S:HEV EX」)、サブ画像は2026年5月21日のフォレスター改良モデル発表リリース(「Touring EX」)に掲載された公式画像です。引用は著作権法第32条に基づき、報道目的での適正な範囲内で実施しています。

