
マツダが5月31日、ロードスターに新色「ジンクグリーンメタリック」を開発したと発表しました。実はマツダの緑系色は約80色もあるのに、現行4代目(ND型)には一度も緑が設定されてこなかった。その「初」の意味と、同じ場で主査が認めた商品改良まで、新色の話だけで終わらせずに読み解きます。
新色「ジンクグリーンメタリック」をまとったマツダ ロードスター(日本仕様)。2026年5月31日の「軽井沢ミーティング2026」で世界初公開されました。4代目(ND型)ロードスターとして初の緑系色で、ソフトトップモデルとロードスター RFから順次導入されます。
「ロードスターに緑なんて、とっくにあるでしょう」。そう思い込んでいませんか。
マツダは2026年5月31日、新塗装色「ジンクグリーンメタリック」を開発し、「ロードスター(ソフトトップモデル)」と「ロードスター RF」から順次導入すると発表しました。マツダの緑系色はこれまでに約80色も存在するのに、2015年登場の現行4代目(ND型)には緑系の純正色が一度も設定されてこなかった。今回が「4代目初の緑」になります。同日開催されたファン主催イベント「軽井沢ミーティング2026」でサプライズ公開され、SNSでは「激渋ですやん」と話題になりました。
新色の出自も変わっています。一般的なクルマの緑は森林や植物など自然がモチーフですが、ジンクグリーンメタリックは工業製品の防錆下地塗料「ジンククロメートプライマー」の色味から着想を得た「機能美」の緑です。さらに見逃せないのが、同じ場で主査が、新色の特別仕様車だけでなくロードスター本体の商品改良にも言及した点。MAZDA SPIRIT RACING(MSR)の開発知見をフィードバックしたビルシュタイン製ダンパーの再セッティング、騒音規制対応のためのエンジン・排気系改良が予告されています。
本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)の視点も交えながら、「4代目初の緑」が持つ意味、新色の技術的な成り立ち、同時に進む商品改良の中身、そして「いま買うべきか、改良を待つべきか」の判断軸を検証します。

📌 「4代目初の緑」ジンクグリーンメタリックの正体

歴代ロードスターと緑は相性が良く、初代のネオグリーンやブリティッシュレーシンググリーンは今でも語り草です。だからこそ、ND型に10年間緑がなかったことの方が、私には不思議に映っていました。
歴代は緑が定番、なのにND型だけ空白だった
ロードスターと緑のボディカラーには長い歴史があります。1989年デビューの初代(NA型)では「ネオグリーン」や「ブリティッシュレーシンググリーン」が人気を集め、2代目(NB型)でも緑系は定番のひとつでした。マツダがこれまでに展開した緑系色は、マツダ調べで約80色にものぼります。ところが2015年に登場した現行4代目(ND型)では、ソウルレッドクリスタルメタリックやマシーングレープレミアムメタリックといった色が主役となり、純正の緑系色は一度も設定されてきませんでした。ディーラー企画のラッピングによる緑が即完売したこともあり、純正の緑を待ち望む声は根強くあったのです。
今回の「ジンクグリーンメタリック」は、その10年の空白をようやく埋める一色です。マツダは「歴代ロードスターにもさまざまな緑系色が採用され、多くのお客さまに選ばれてきた。こうしたご要望を背景に、緑系色を4代目ロードスターに初めて採用する」と説明しています。約80色という長い緑の系譜の上に、ND型として初めて一筆が加わった、という位置づけです。
下地塗料から着想した「機能美の緑」
新色の成り立ちはユニークです。一般的に自動車の緑系色は森林や植物など自然をモチーフにすることが多いのですが、ジンクグリーンメタリックは工業製品の耐久性を高めるために用いられる下地塗料「ジンククロメートプライマー」の色味や質感から着想を得ています。マツダはその合理的な機能美を「タフさ」として色味で具現化したと説明します。自然ではなく工業の機能美を出発点にした点が、近年のマシーングレーやエアログレーといった無機質な質感表現の延長線上にある、マツダらしいアプローチです。
色の見え方にも二面性があります。暗所ではソリッド調の質感で引き締まった力強い印象を、明所では繊細なメタリックの輝きでボディの造形美を際立たせる。この表現のために、青みを帯びた光輝材を配合し、粒径や配列を最適化してクールな色味に仕上げたとしています。クラシックなブリティッシュレーシンググリーンとは異なり、機械や工業製品を思わせるモダンなグリーンとして位置づけられそうです。導入はロードスター(ソフトトップ)とロードスター RFから順次で、発売時期は市場により異なるとされています。

📌 新色と同時に動く「商品改良」の中身

新色は分かりやすい話題ですが、買い替えを考える人にとって本当に効くのはこちらです。主査が認めた商品改良は、走りの質と最新法規対応を同時に成立させる内容で、レースで鍛えた知見が市販車に降りてくる流れになっています。
MAZDA SPIRIT RACING ロードスターに採用された専用チューニングのビルシュタイン製ダンパー(参考画像)。スーパー耐久参戦で培った知見を反映したMSRのノウハウが、今回予告された標準ロードスターの商品改良にもフィードバックされ、ダンパーのリセッティングが行われるとされています。
出典:マツダ ニュースリリース『「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」と「12R」の予約受注を10月24日より開始』(2025年10月4日)
MSR由来のビルシュタイン再調整と、4-1排気での騒音規制対応
軽井沢ミーティングで主査が語ったのは、新色の特別仕様車を設定するだけでなく、ロードスター本体の商品改良も入るという点でした。中心になるのは、限定モデル「MAZDA SPIRIT RACING(MSR)」の開発で培った知見のフィードバックです。具体的には、ビルシュタイン製ダンパーのリセッティングが予告されています。MSRロードスターはスーパー耐久参戦で鍛えた足回りを持ち、そこで得たノウハウが標準車の乗り味の底上げに使われる構図です。
もう一つの柱が、年々厳しくなる車外騒音規制への対応です。エンジンや排気系に改良を施し、タイヤのトレッドパターンにも細かな変更が加えられると報じられています。参考になるのがMSRで採用済みの排気系で、従来の4-2-1排気から4-1排気へと変更し、4本のパイプの長さを統一して径を拡大、ガラス繊維のバンテージとステンレスメッシュで遮熱・防音性能を省スペースに両立しています。標準車の改良が同じ手法をどこまで採るかは正式発表待ちですが、「法規対応でありながら走る歓びを損なわない」という方向性は一貫しています。
現行ロードスターの価格構造とGRADE MATRIX
新色や商品改良の判断材料として、現行ロードスターの価格構造を押さえておきます。ソフトトップはS(289.85万円〜)からRSまで、RFは379.61万円〜430.87万円。さらに上位に、レース由来のMAZDA SPIRIT RACING ロードスター526.57万円、200台限定の12Rが761.2万円というハイパフォーマンス機種が控えます。新色は特別仕様車での設定に加え、特別仕様車だけでなく全グレードで選択可能と報じられており、装備や予算に応じた選び方ができそうです。
たかまさはこう見ている

私はこれまで11台を乗り継ぎ、スポーツカーの「色とタイミング」が後の満足度をどれだけ左右するかを何度も見てきました。今回の新色は、その両方を考えさせてくれる一台です。
11台の買い替え経験から言えるのは、スポーツカーの色は「自分が10年後も古びたと感じないか」で選ぶべきだということです。流行りの明るい色は数年で飽きが来やすい一方、ND型のソウルレッドやマシーングレーのように、質感で勝負する色は時間が経っても陳腐化しにくい。ジンクグリーンは工業の機能美を出発点にした分、ブームに乗った緑ではなく、長く付き合える質感型の緑になっている可能性が高いと見ています。
そのうえで、買い時の判断軸を整理します。新色そのものは、急いで決める理由になりません。順次導入で全グレードでも選べる方向なら、慌てて初回ロットを掴む必要は薄い。むしろFP視点で重いのは、同時に予告された商品改良の方です。ビルシュタイン再調整で乗り味が底上げされ、4-1排気を含む騒音規制対応で最新法規をクリアした個体は、数年後のリセール局面でも「最新法規対応・改良後」という安心材料を持ちます。色は好みで選び、買うタイミングは改良後を狙う——これが、満足度と資産価値の両方で外しにくい組み合わせです。
結局のところ、マツダが今回見せたのは「新色という分かりやすい話題の裏で、走りと法規対応を地道に詰める」という二段構えでした。派手な一色に目を奪われず、その下で進む改良の中身まで見て買い時を測る人が、長く後悔しない一台にたどり着きます。本記事の数値や前提は、FPの視点で一次情報と突き合わせて検証しています。
🔍 この記事のファクトチェックについて
本記事に掲載した車両画像は、すべてマツダ公式ニュースルーム(https://newsroom.mazda.com/)のプレスリリース画像から引用しています。ヒーロー画像は2026年5月31日「新塗装色ジンクグリーンメタリックを開発」リリース、サブ画像は2025年10月4日「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER/12R予約受注開始」リリースに掲載された公式画像です。サブ画像はMSRロードスターの参考画像であり、引用は著作権法第32条に基づき、報道目的での適正な範囲内で実施しています。

